2018 Fiscal Year Research-status Report
コメディカル学生における医療情報伝達能力向上のための言語技術教育プログラムの開発
Project/Area Number |
16K13513
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野坂 大喜 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80302040)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語技術 / ノンテクニカルスキル / 医療安全 / 医療インシデント |
Outline of Annual Research Achievements |
コメディカル学生向け言語技術教育プログラム組み込み型協同学習の実践評価を実施した。実践評価は医学系または保健学系学生を主たる対象とし、言語技術教育受講者と非受講者間のノンテクニカルスキル差比較によって行うこととした。 空間配列ルールでは情報収集・提示の原則として、概要から詳細情報へと順序に則って行うことで秩序だった論理的説明が行えるとされている。そこで本調査では、単純な構図の画像を提示し、第三者に対しての説明を記述回答させた。回答内容は空間配列ルールに照らし合わせ、空間配列項目情報を取り出すスキル、情報の説明方法を思考するスキル、情報を提示する優先順位を決定するスキルに分類して評価した。 1)言語技術教育非受講者スキル評価:医学系・保健学系学生において医療安全管理学受講者を対象として空間配列ルールに基づいた情報収集と説明スキルの可否についての記述式テストを行った。回答は無記名方式にて回収した。学生198名のスキル評価を行った結果、専攻職種を問わず正答率は20%を下回り、ノンテクニカルスキルに乏しいことが判明した。 2)言語技術教育受講者スキル評価:言語技術教育未経験者を対象とした言語技術教育プログラムを選択科目として開講し、90分×15回の言語技術教育を行った。受講前後において空間配列ルールに基づいた情報収集と説明スキルの可否についての記述式テストを行った。学生30名に対してスキル評価を行った結果、専攻職種を問わず受講前後においてノンテクニカルスキルの有意な向上が認められた。 このことから医療安全の観点上、医療系学生全体に対してノンテクニカルスキルを向上させる必要があると考えられ、その一手法として言語技術による保健学系学生向けノンテクニカルスキル教育が有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度と平成29年度研究成果をもとに新たに講義・演習科目として言語技術教育プログラムを開講した。またその教育効果については、コメディカル学生向け言語技術教育プログラム組み込み型協同学習の実践評価を行い、開発した言語技術教育プログラムは有用性が高いことを明らかにしている。 これらの研究成果については看護学系国際学会において発表したほか、論文としても報告を行い、広く研究成果を還元した。 以上のことから当初計画記載の研究成果の蓄積がおおむねなされている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
実証評価において本教育プログラムの有用性は明らかとなったものの、複数回にわたる教育実証評価や短期集中研修等による社会人教育への応用などを行うことが必要であり、今後の研究を進める予定である。 また研究成果報告のため国際学会での発表を予定していたが、参加予定学会の開催日が2019年度になったこと、また実証評価のための授業開講時期が2018年度後期となったため国際誌への投稿が遅れている。そのため研究期間を1年間延長し、平成31年度において研究成果公表をあわせて進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画において研究成果報告のため国際学会での発表を予定していたが、参加予定学会の開催日が2019年度になったこと、また実証評価のための授業開講時期が2018年度後期となったため国際誌への投稿を2019年度に行うこととなったことから、次年度使用額が生じている。また実証評価内容の再検証を行う必要があることから、実証評価試験に関わる物品費の次年度使用額が生じている。 以上のことから研究を1年間延長し、平成31年度研究において、実証評価において物品費を使用すること。また研究成果について広く還元するため、国際学会への参加費用と国際誌への投稿費用として使用する見込みである。
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