2016 Fiscal Year Research-status Report
高校教育にとって「学級」とは何か―学級の教育的意義に関する調査研究
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16K13519
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 高康 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (30291321)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高校教育 / 社会学 / 学級 / 調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで高校についてはほとんど顧みられることのなかった「学級」にあえて注目することで、現代の高校教育システムがいかなる暗黙の規範に縛られているのかということを、従来とは全く異なる視角から明らかにすることを目指すものである。その際に、本研究では「学級」の意味を、当事者である高校生の情報だけではなく、高校を既に卒業した成人や当時の学級担任の視点から描き出す。こうした点を検討することにより、高校における「学級」がいかなる教育的意義を持ちうるのかが検証され、「学級」を自明視して成り立っている現代の高校教育制度の在り方そのものに重大な問題提起をしうる知見が生み出されることが大いに期待される。 研究1年目である平成28年度は、過去に申請者が代表となって実施した二つの調査研究の資料の整理と再分析が中心的課題であり、具体的には研究協力者とともに複数回の研究会をおこないながら検討を進めた。分析を進める過程で、過去のクラスデータを用いたクラス編成原理の探求ができることが明らかとなり、その分析を深める形で得られたデータの中間報告を学会にて発表した。また、当時の担任や在校生に対するインタビューを実施し、その分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では、もう少し過去データの分析に主眼を置いた研究を想定していたが、研究協力者とも協議する中で、X商業高校を工業および普通科のクラス編成と比較するという興味深い課題が見出され、分析課題の修正をおこなった。そのため、当初の計画以上の進展とはいえないが、当初は予期していなかった方向で、学会発表まで実施できたことは、到達ラインの水準としては「順調」と判断できる。インタビュー調査も計画通り実施した。ただし、インタビューは思った以上に旧在校生へのアクセスが難しく、今後に課題を残している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、直接的に旧在校生にアプローチするのではなく、X商業高校への観察及びインタビューを織り込み、学校側からも新たなデータ取得を試みたい。一方で、既存のデータの再検討は今後も継続して続けていく。
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Causes of Carryover |
年度内に関西のX商業高校に出向くために保留していた金額だが、研究協力者とも相談の上、次年度に出張することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の前半に、X商業高校へ出張をする予定である。
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