2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K13522
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
篠原 清昭 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (20162612)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 少数民族 / 教育権 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、内蒙古及び青海省を対象にメンバーにより現地の少数民族の教育状況特に民族学校の実態を事例校調査し、以下のようなことを明らかにした。1.二つの地方の少数民族教育の実際はそれぞれの少数民族の政治的背景や民族アイデンティティーの違いを大きく反映させていた。2.その違いは二つの少数民族教育条例に大きく影響を与えていた。3.一方、二つの地方の民族学校は実態(学校経営、カリキュラム、二言語教授法など)において同一の問題を抱えていた。 以上のことは、大きく中国政府(教育部)の少数民族教育政策の変化が多く要因として存在した。その変化とは、中華民族主義的教育政策であり、中国の少数民族は再び過去の大漢民族主義の方向に再帰し、今後において少数民族教育の課題がみられた。その課題とは、①言語政策により漢語重視の国家基準が強制され、民族語の解体が進行していること。②少数民族地区の経済社会の変動、すなわち漢族資本の侵略とそれに伴う漢語能力を問うリクルート市場への変化により、生徒自らが民族語離れを生じさせていること。③さらに少数民族の子どもが民族学校を回避し、漢族学校を希望している実態があることなどをいう。 今後において少数民族教育の可能性をどう考えるか。一つの方向は不可避的な少数民族地区の漢族による市場化に対して、民族語に固執せず漢語を積極的に学び、高学歴・高収入を求める個人主義的なキャリア形成がある。むしろ、民族語への固執は偏狭な民族独立主義への傾斜や学問習得にマイナスの影響を与えているともいえる。知識の習得のツールとしての漢語を学び、社会的有意なキャリアを求める方向を今後検討すべき時期にあると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者のみならず中国・台湾の海外の研究協力者の個人レベルでの研究の成果が見いだせる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、台湾の原住民族関連の現地調査を予定している。また、本年度は本研究の最終年度にあたることから最終的なまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該国の調査に関して先方の都合により変更したため。
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Research Products
(1 results)