2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム的手法を取り入れた教材によるいじめ防止プログラムの開発と効果
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16K13529
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小田 哲志 愛媛大学, 教育学部, 教授 (00756843)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人間関係向上プログラム / ゲーム的手法によるいじめ防止プログラム / 事例研究 / いじめ対応アクションプラン(改訂版) / 道徳科・特別活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 平成28年度には、本研究の目的であるゲーム的手法の問題場面となる葛藤場面を各学校の実例に基づいて探るために調査を行い、松山市教育委員会(以下、松山市教委という)との連携協力のもと、調査委員会を立ち上げ、筆者監修のいじめ場面の葛藤場面集を含む「いじめ対応アクションプラン(改訂版)」を作成した。H29年度は、早々に本予算を使用して印刷した冊子とデータを、各学校に送付した。 2 さらに、松山市教委の中核市研修の生徒指導主事研修会において、この事例集を使った事例研究を実施した。これを各学校に持ち帰り、夏季休業中には、各学校で事例研究を行っている。また、これ以外にも、松山市教委の各種研修会において、事例研究を行った。この成果については、H30年度愛媛大学教育学部紀要に投稿予定である。 3 これらの研究を基に本題である「ゲーム的手法によるいじめ防止プログラム(ただし、児童生徒向けにタイトルは「人間関係向上プログラム」としている)」の作成に向けたプログラム作成委員会を立ち上げ、昨年度の調査で明らかになった葛藤場面を使用して、問題場面を作成した。ゲーム的要素を高めるために、問題場面を一般化、簡略化するとともに意見が分かれるよう事例を改めた。これにより、小中別の「学校生活」「部活動」「校外学習等」「登下校・放課後」「塾・習い事」「家庭生活全般」「SNS」の7つのカテゴリー、計27問の問題を作成し、これを「ゲーム的手法によるいじめ防止プログラム」として試作品を完成した。 4 本プログラムの周知を行うために、愛媛県教育研究協議会生徒指導委員会(以下、愛教研生徒指導委員会という)発行の「愛媛の生徒指導」に投稿し、「「いじめ」から子どもを守る!」(2)ゲームで高めるいじめトラブル場面における判断力・処世術の育成」として、投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 当初、児童生徒へのアンケートを基にした葛藤場面の洗い出しを行うこととしていたが、学校教員に要請したところ、児童生徒の精神状況への配慮から難しいということが分かった。そこで、先生方の指導を行った事例の集約ということに方向性を変え、その調査段階でいじめ関係者から教師が話を聞き、まとめていく手法をとった点は、当初の計画と大きな相違点である。 2 いじめ葛藤場面集を含めた「いじめ対応アクションプラン」の作成は、松山市教委の各種研修会に於いて使用するとともに、各学校での事例研究会での使用を積極的に呼びかけ、松山市の公立小中学校でいじめへの対応力を向上させるための資料として活用されている。 3 本題のいじめ防止プログラムの作成においては、松山市教育委員会の作成委員会を立ち上げ、作成を行った。「いじめ対応アクションプラン」で示された事例を基に児童生徒の問題場面での判断力・対応力を高めるために効果的に問題場面を作成しようとした。この点については、作成した問題を各委員が自校で実験を行い、子ども同士の議論を高める問題場面となっているかどうかを確認しながら、推敲した。このことがなかなか難しい点であったが、意見交換を重ねて、「人間関係向上プログラム試作品(全27題)を完成した。 4 愛媛県教育研究協議会生徒指導委員会(以下、愛教研生徒指導委員会という)発行の「愛媛の生徒指導」に投稿し、「「いじめ」から子どもを守る!」(2)ゲームで高めるいじめトラブル場面における判断力・処世術の育成」として、投稿し周知した。
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Strategy for Future Research Activity |
1 本プログラムは試作品のため、各学校で一定期間実施し、効果測定を行うことが重要である。そのために、今、このプログラムにより児童生徒にどのような力が育まれるかを確かめるための尺度を探す、または、作成することが必要であると考えている。そして、本プログラムを使用することでどのような成果が得られるかを検証する必要がある。そして、作成委員会において、再度本プログラムを見直し、完成させる予定である。 2 本プログラムは、児童生徒が使用して初めて効果を発するものである。そこで、松山市、または、県下の先生方のいつも手元に置き、使用できる状態を作っておくことが大切である。また、その使用方法等を十分に周知する必要がある。そこで、本プログラムを活用の仕方やプログラム自体をCD化、及び、冊子にまとめ、愛媛県下の先生方に周知広報することを予定している。 3 文部科学省では、道徳教育の充実がいじめに向けた最重要事項であるしているが、その道徳科では、問題解決的な学習が有効とされている。そこで、道徳授業での援用を本プログラムの援用が有効かどうかについても検討したい。
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Causes of Carryover |
プログラムを作成し、プログラム及び使用法について、愛媛県内の小中学校に冊子とCDで配布予定であったが、その作業がやや遅れている。また、作成委員会を立ち上げたが、松山市の教員、指導主事であったため、講師謝金を必要としなかった。 未使用額は,本年度配布予定であったプロムラム内容やプログラム使用の諸注意をまとめた「人間関係向上プログラム(ゲーム的手法を用いたいじめ防止プログラム)の手引き」を次年度に印刷する費用に充当する。
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