2016 Fiscal Year Research-status Report
エコシステム理念による教育制度再編と教育行政の役割変容に関する先駆的研究
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16K13541
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
古田 薫 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (40556049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 裕己 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (60335403)
山下 晃一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80324987)
大谷 基道 獨協大学, 法学部, 教授 (80705939)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育エコシステム / イノベーション / ガバメント2.0 / エデュケーション3.0 / プラットフォーム / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
教育エコシステムの基礎概念の整理と体系的分析として、「ガバメント2.0」を通じて、イノベーションが行政全般の在り方にどのような影響を及ぼしているか、多様なアクターがどのような新しい方法で行政に関与しているかについて調査を行い、こうした動向から教育行政の在り方の変容の可能性を検討した。また、イノベーションが教育の概念そのものを変容させる可能性も踏まえ、旧来の教育を「エデュケーション1.0」として、「エデュケーション2.0」「エデュケーション3.0」を展望し、エコシステムとしての教育を、教育行政と教育そのものの在り方の2つの視点から探索した。 民間セクターの教育への関与について、米国との比較を念頭に、日本における現状を調査した。特に、ICT CONNECT 21を対象として、活動の目的と内容を調査し、米国の教育イノベーション・クラスターとの共通点および相違点を明らかにした。さらに、こうしたプラットフォームの存在が、教育委員会レベル、学校レベルでどのような変化をもたらしているかを整理し、背景となる社会的状況の米国との相違から、日本独自の教育エコシステムの形とその効果を検討した。 その結果、新しい教育の特徴は、知識を動的で、開かれていて、多面的で、公共のものであるとみること、教育は、学校の内部および外部と保っているネットワークであること、この教育のネットワークは、適応する、動的で進化する組織体であること、教師は学習の案内役であること、学習者集団は多様(広い年齢層、社会教育背景、能力、目的、期待)であること、教育は仕事、家族、個人的発展によって焦点が変わり、影響を受けることであり、これらを運営するためには、広範で分散された資金による教育財政、学習者への個別支援、企業からの支援、地域のビジネスとサービスとのパートナーシップ、多様な人々の意思決定への関与などが必要となることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎概念の整理と体系的分析、現状の調査は、計画以上に進行したが、現地調査が十分に行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の成果を踏まえ、29年度は現地調査の補完と理論的研究を中心に研究を推進する。 教育エコシステムについてさらに政治学的な考察を深め、ガバナンスとアカウンタビリティの在り方、教育の公共性、教育行政の役割の検討を行う。 また、米国の研究者・実践家との交流のためのミニ・シンポジウムを開催し、研究の成果についてのディスカッションを行って理論の精緻化を図る。 以上より、本研究の最終目標である、教育エコシステムに基づく教育制度の構想とその実現可能性を探求する。
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Causes of Carryover |
現地調査の日程調整が困難であったため予定通りの実施が行えなかったため、これに伴う旅費、人件費等が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度実施の現地調査を2回とし、このうちの1回の旅費等に使用する。
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