2016 Fiscal Year Research-status Report
高校生の決定進路に関する追跡調査とパネルデータの構築
Project/Area Number |
16K13545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 渉 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (00403311)
古田 和久 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70571264)
多喜 弘文 法政大学, 社会学部, 准教授 (20634033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 進路決定 / パネル調査 / 教育機会 / 奨学金 / 格差・不平等 / 社会階層 / 学歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,2012年度に行った高校生と母親に対する調査の追跡調査を行い,進路決定のメカニズムを明らかにすることである.本年度は分析データを入手するための追跡調査とパネルデータセットの構築および基礎的な分析が課題の中心となる.まず,(1)2016年4月に研究会を開催し,調査設計および調査票についての検討を行った.その後も繰り返し検討を続け,最終的な調査票(全10ページ)を完成させた.調査票については,第1波調査の項目に加え,近年関心の高まっている奨学金についての項目を加えた.また高校在学時から卒業までの詳細な変化の情報を得た.続いて(2)調査の実施に対して,研究倫理審査委員会からの承認した上で,2016年12月から2月まで,母親に対して追跡調査を行い,約73パーセントからの回収を得ることが可能となった.そして(3)データの納品後にパネルデータを構築し,共同研究者へのデータの配布後に,2017年3月に研究会を開催し,データの偏りや次年度に向けての分析方針についての検討を行った.またクリーニングおよびコーディングを行った.回収を従属変数とした2項ロジット回帰分析から,回収の偏りについての傾向を明らかにするとともに,回収の偏りによるバイアスを補正するためのウェイトを作成した.また,進学した学校の情報についてのクリーニングをほぼ完了させた.その上で日本社会における教育による不平等の位置づけを明らかにするために,(4)国際社会学会の社会階層部会(ISA RC28)において,教育と社会階層に関する報告およびデータ分析のための資料収集をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1波調査から約4年ほど経過しているのにも関わらず回収率は7割を越えており期待以上といえる.データの合併などについては問題なく行うことができ,パネルデータが構築できた.さらにサンプル脱落についての2項ロジスティック回帰分析から,偏りの検討と,それをもとにしたウェイトによる補正についての検討を行うことができ,次年度の分析に向けての準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
パネルデータをもとに進路決定に対する影響について,様々な角度から検討する.具体的には次の4つの分析を課題としている.(1)合理的選択に基づく仮説検証を,ドイツの分析結果との比較を踏まえて行う.(2)教育達成の格差・不平等についての分析を行う.(3)学校生活がその後の進路に与える影響を分析する.(4)奨学金に対する意識についての分析などを行う.分析にあたってはデータの補正前と補正後の比較を行うようにし,信頼性の高い結果を導き出す.また,データのクリーニングを行い,データアーカイブへの寄託の準備を進める.
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Research Products
(2 results)