2017 Fiscal Year Research-status Report
教育機関・プログラムと連携した地域家庭への留学生受入れ;ホームステイの研究
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16K13547
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 佐知彦 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (70335397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 光一 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (50263330)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ホームステイ / 学習成果 / 一般住宅宿泊 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)宿泊する学生(学習者・ゲスト)、(2)ホストファミリー、(3)教育機関および(4)地域社会といったステークホルダーのうち、特に前三者に対してホームステイのもたらすインパクトを明らかにするために研究を推進している。ホームステイ研究は「送り出し」に調査分析が集中しがちで、受入れサイドではソーシャルスキル獲得が注目されてきた。 日本文化やライフスタイルへの関心が高まりつつある機を捉え、従来の教育効果研究を緻密化するとともに「学習がはかどる」留学生宿舎のオプションとして、俯瞰的に日本型のホームステイ運営モデルの構築とガイドラインの設定を目指している。 今年度は全国の大学に呼びかけ、留学生宿舎に関するアンケートを実施し、63校から回答を得た。また大阪大学の短期夏季プログラムに参加した米国などの49名の学生を対象として、ホームステイ学生とそれ以外の宿舎の学生との間で、成績の差が出るのかと行った実証的な調査を試みている。その成果については日本学生支援機構の「ウェブマガジン留学交流」で広く関係者に周知し反響を得たが、まずホームステイを実施している学校を対象としたアンケート結果では、予想に反し、留学生宿舎が逼迫しているとか、ホームステイは初期開発投資が低廉な学生宿舎、と言う捉え方は少数派だった。その反面、ホームステイは運営コストはかかるものの、高い教育効果を期待をしているという実態が明らかになった。 その反面、本学で実施したサマープログラムの参加者の間では、宿舎による成績の顕著な差は見られなかった。その一方で「日本人の生活を知りたい」と考える学生がホームステイを選択していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国的なアンケート結果を集計し、2017年夏季プログラムについて、宿舎別に着目した学習成果モニタリングを行った。その成果については日本学生支援機構の「ウェブマガジン留学交流」で広く関係者に周知し、反響を得ている。 まずホームステイを実施している学校を対象としたアンケート結果では、予想に反し、留学生宿舎が逼迫しているとか、ホームステイは初期開発投資が低廉な学生宿舎、と言う捉え方は少数派だった。その反面、ホームステイは運営コストはかかるものの、高い教育効果を期待をしているという実態が明らかになった。 また本学参加学生の事前アンケート分析から、ホームステイを選択した学生は、宿舎選択にあたり「食事」「地域住民との交流」「家族的な雰囲気」「言語学習」を重視しており、ホームステイを選択しなかった学生は「費用」「広さ・間取り」「プライバシー」「立地・通学距離」「個人専用水回り設備の必要」「ネット環境」「プログラム参加学生同士の交流」を重視していた事などが明らかとなっている。また「日本人の生活を知りたい」という目的意識がホームステイを選ぶ理由となっており、日本人のホストファミリーにとってのメリットを最大化していくことが必要ではないか、と言うようなポイントが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続いて大阪大学における留学生のインタビューやアンケートなどのデータを蓄積する。 現時点までのデータの分析結果では、ホームステイ学生とその他の宿舎の学生との間で成績上の有意な差が見られたわけではなかった。今後は外国人学生と受入ファミリーの異文化理解や自国文化の理解そして外国語学習などについて、学生だけでなくホストファミリーも利益を受けるという「一挙両得性two-way enrichment」にも焦点を当て、Homestay Advantage は独り学習者だけにもたらされるものではなく、受け入れた家庭からもそれが期待されている事を明らかにしていきたい。 そのためには海外を含めてH29年度にあげた研究成果の発表を行う計画である。 山口(2012)が指摘するようにホームステイ研究には様々な条件を勘案しながらの是々非々の客観的な検討が顧みられない傾向がある。批判的実証的なアプローチからホームステイ効果の検証を行いつつ、ホストファミリーの視点からの研究も加えながら、本研究の目的であるガイドラインの整理や日本型ホームステイモデル構築への提言を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究を遂行するにあたって必要経費の節約のため、研究目的であれば無料で使えるアンケートシステムの活用を行ったり、必要となる機材についても、一部代表者の既存機材を手直しして間に合わせるなど、物品費などを抑えてきた。 また本研究を遂行する上では旅費が必要となるが、一部の国内出張については研究代表者に割り当てられた運営公費金などを充てている。なお、H30年度については本研究の海外での発表なども企画しており、そのためには研究代表者とともに研究協力者の旅費等についても本科研から支出をする必要があり、本助成金を活用する予定である。
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