2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Case Studies of Effectiveness on Educational Innovations in Higher Education in Developing Countries
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16K13558
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
廣里 恭史 上智大学, グローバル教育センター, 教授 (40262927)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発展途上国 / 高等教育 / 教育イノベーション / 持続可能な開発 / オンライン教育 / ブレンド型学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発展途上国の高等教育に関し、「教育2030」行動枠組に含まれる「質の高いかつ適切な高等教育への公正なアクセス」の達成を目標とする事例を取り上げ、1.対象層(特定・不特定)、2.費用(高・低)、3.ネットワーク(有・無)という基準によって8つの類型に分類し、それら事例の比較研究によって、効果を高める要素や特徴を明らかにすることを目的とした。 具体的には、(1)既存の文献によりイノベーション理論と概念を整理し、特に教育イノベーションに関する文献サーベイを行い、ある教育活動がイノベーションと見做される条件を考察する。(2)発展途上国の高等教育のイノベーション事例を対象に、「質の高いかつ適切な高等教育への公正なアクセス」と相関があると認められる事例を発掘し、それら事例の要素や特徴は何かを明らかにした。さらに、本研究の最終年度では、どのような教育イノベーション事例を優先的に普及すべきといった政策的インプリケーションを導くことに重点を置いた。 比較事例分析によって高等教育における教育イノベーションを考える上で、本研究で分類した事例タイプを複合的に導入し、より多くの対象層の人々が「櫃の高いかつ適切な高等教育への公正なアクセス」を得ることができるべきである。同時に、オンライン教育における言語の壁を乗り越える必要がある。そのためには、複数言語や翻訳機能の強化など、特別な対応をとる必要がある。 しかし、言語の問題は一筋縄ではいかない。英語使用が一般的なオンライン教育では、英語能力の差異によって高等教育への公正なアクセスが制限されることが多い。したがって、対面形式授業のような伝統的な学習形態と並行してオンライン教育も取り込む、いわゆる「ブレンド型学習」形態を拡大していくことで、多様性に考慮したより質の高いかつ適切な高等教育への公正なアクセス」を提供できるようになるのではないだろうか。
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