2016 Fiscal Year Research-status Report
ハンガリーの中国系の子どもにみるトランスナショナリズムに関する教育人類学的研究
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16K13560
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山本 須美子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50240099)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | EU / 中国系の子ども / トランスナショナリズム / ハンガリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ハンガリーにおける中国系の子どもを取り上げて、文化人類学的調査に基づいた親や中国系コミュニティを含む多角的視点から、中国系の子どものトランスナショナルな教育経験と進路選択の実態、及びその背後にある諸要因を明らかにすることである。 本年度は、第一に文献からハンガリーの中国系コミュニティの特徴を把握した。ハンガリーにはチャイナタウンが存在せず、中国系人口の集中するブダペストには中国人卸売業者が集まる中国マーケットがあることが特徴であった。 第二に9月に半月間ブダペストにおいてフィールドワークを実施した。中国系の若者数人へのライフヒストリーを構成するインタビューによって、イギリスや中国の大学に進学しているトランスナショナルな教育経験と進路選択の実態の一端が明らかになった。中国系の若者はハンガリーの給与が安いのでハンガリーで就職しようとは考えていなかった。インタビューをした中国系の親はハンガリーの暮らしが気に入っているが、子どもにはイギリスやドイツ、中国での就職を望んでいた。また、中国系の子どもの通う全日制学校はハンガリー語を教授語とする公立学校だけではなく、政府援助の中国語とハンガリー語のバイリンガル学校、英語とハンガリー語のバイリンガル公立学校、インターナショナル・スクール等、多様であることがわかった。さらに、ブダペストには中国系の子どもの通う補習校が2校あり、校長にインタビューをし、その歴史と現状が明らかになった。1校は英語を教える補習校であり、中国語を教える西欧諸国の補習校との違いが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りにフィールドワークが実施でき、研究目的に沿った結果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度のブダペストにおけるフィールドワークにおいて、良いインフォーマントも得られ、今度も調査も順調に進めることができる。
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