2018 Fiscal Year Research-status Report
バイリンガルとセミリンガルの狭間:グローバル化時代の言語格差と多言語運用能力像
Project/Area Number |
16K13561
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
片田 房 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70245950)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイリンガル / セミリンガル / 公教育言語 / 英語一極集中 / 言語多様性 / 多言語運用能力像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終ステージとして、国内外における研究発表を中心とする以下の活動(①と②)を展開し、‘セミリンガル’の定義を深めると共に、本研究の社会的・教育的意義の啓蒙に努めた。更に、本研究の完成度を高めるための準備活動(③)を行った。 ①国外においては、EU、アフリカ、北米の各地で開催された国際学会にて、バイリンガルの定義と学習力を支える言語能力とのバランスについて、見解を発表した。(i) International Conference on Language in Focus 2018 (2018年5月、ギリシャ開催)、(ii) The 20th International Congress of Linguists-第20回世界言語学者会議(2018年7月, 南アフリカ共和国開催)、(iii) SITE 2019-The Society for Information Technology & Teacher Education (2019年3月、米国開催)。 ②国内においては、英語圏に顕著に顕在化する音韻性ディスレクシアとの関連性と英語一極集中現象と連動して起こり得るセミリンガル現象の可能性について、ディスレクシアの研究者の集う発達性ディスレクシア研究会(2018年9月開催)にて、その見解の一端を発表した。また、より広い社会一般に対する啓蒙活動の一端として、AIが外国語運用能力像に及ぼす影響についての見解をWASEDA-YOMIURI ONLINE〈2018年6月〉にて発表した。 ③超多言語地域の少数派言語の一例として、タガカウロ語(フィリピン、ミンダナオ島)の辞書項目分析を統計の手法を使って完了させた。当データの使用目的は、今後の研究の推進方策の(1)に記載したとおりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終ステージとして計画した国内外における研究発表と啓蒙活動は順調に進展し、目的はおおむね達成できたと考える。その過程で、本研究課題の普遍性の高さを認識し、補助期間の延長を申請した。下記今後の推進方策に記載した活動を展開し、本研究の完成度を高める。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の完成度を高めるため、以下の活動を展開する。 (1)超多言語地域の少数派言語の一例として、タガカウロ語(フィリピン、ミンダナオ島)の辞書項目分析を完了させたデータの形態素境界の正確性を確認した後、当言語の教育言語としての妥当性を現地にて分析し、学習力に関して子ども達の被る不利益の有無を考察する。 (2)本研究テーマが世界に存在する様々な継承言語にも通じる普遍性の高さを再認識し、日本国内の状況調査に加え、南米(ボリビア)の状況を現地在住の研究協力者の協力を得て行う。 (3)より統合的な論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
<理由>前述したとおり、本研究の完成度を高めるための活動経費を残したため。 <使用計画>今後の研究の推進方策に記載したとおり、フィリピン共和国と南米ボリビアにおける調査費用(渡航費と現地研究協力者に対する謝礼)に使用する。
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Research Products
(7 results)