2017 Fiscal Year Research-status Report
日本における女子教養としての料理:お稽古事としての料理教室の萌芽と変遷過程
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16K13562
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Research Institution | Aichi University Junior College |
Principal Investigator |
須川 妙子 愛知大学短期大学部, ライフデザイン総合学科, 教授 (40342125)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 居留地 / 雑居地 / キリスト教教育 / 個人 / 中国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
主調査地(神戸)の史料収集はほぼ完了した。主調査地との関連地域(長崎、川口、横浜、新潟、福岡、山口、上海)を見出すことができ、調査地を拡大(長崎、福岡)して関係史料の収集を行った。研究経過を学会発表、学会誌にて公表し、他研究者からの助言を得た。公表した学会、学会誌は次のものである。日本家政学会中部支部第62回大会・於:仁愛大学『「教養」として「料理を習う」ことの意義―明治末期の女子の例―』、『研究論集』NO.40 愛知大学短期大学部『『菓子研究』にみる昭和初期の洋菓子業界―欧米の菓子文化に倣った洋菓子文化の創造へ―』 主調査地(神戸)の調査で見出せたことは、居留地文化と女子教育の関係、主としてキリスト教系女子教育との関係である。類似の教育形態が同時期の他の外国人居留地及び雑居地にも存在し、教師(宣教師)の移動により教育体系のが整理され、体系化されていくことが見出された。しかし、あくまでも個人が開設する教室、個人教授としての料理教育であり、学校で行われるの体系的教育とは一線を画すものであった。また、生活の場においては、西洋人家庭に出入りしていた中国人家政婦(夫)を介して、西洋文化が日本人家庭へ伝授された情報も散見された。西洋人と日本人の生活圏がより近接であった雑居地での史料の詳細な分析の必要性が見出された。また、日本において複数の言語をあやつる中国人家政婦(夫)の母国における教育環境、体系も今後の分析には勘案するべき視点であることが見出せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
主となる史料収集地近辺への転居により、史料収集が迅速かつ確実に行えた。それに伴い、調査地を拡大しての調査が実施でき、また学会発表や論集への投稿によって研究過程を公表したことで他研究者からの助言を受けることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
年度前半には拡大した調査地の史料収集と分析を引き続き行う。年度後半は国際学会での発表および報告書の執筆にあて、最終結果を年度末に報告書として仕上げる。
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Causes of Carryover |
主調査地への旅費が転居により不要になったため。また、発表を予定していた国際学会の開催地が校務多忙時期と重なったため断念したため。 差額分は拡大した調査地への旅費に約200,000円、国際学会発表費用に約200,000円の支出を予定している。
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Research Products
(2 results)