2016 Fiscal Year Research-status Report
活動重視型学習の指導力向上のための立案・記録併用式活動可視化ツールの開発
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16K13574
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
溝邊 和成 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30379862)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラーニングスケッチ / 学習指導案 / 活動可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで未着手であった保育案や活動重視の学習(生活科、総合的な学習の時間等)に見られる学習指導案に着目し、その整理とともにそこで得られる知見をベースとして教員の指導力向上をめざした立案・記録併用型の活動可視化ツール(以下、ラーニング・スケッチ)を開発・提案するものである。 2016年度前半は、4月に関係者による組織を立ち上げた後、学習指導案のフォーマットづくりに向けて情報収集を重点に行ってきた。5月には日本保育学会に参加し、ラーニングスケッチの参考としてラーニングストーリー、ドキュメンテーション、保育記録、保育案等をキーワードに自主シンポをはじめ、口頭発表やポスター発表を検討した。6月前半は、授業実践交流会の生活科(兵庫教育大学附属小:第1学年)で示したラーニングスケッチについて意見交換を行った。また日本生活科・総合的学習教育学会でのラーニングスケッチに関する発表(2件)に加え、New Education EXPO 2016(大阪)に参加し、ラーニングスケッチのヒントになるICTの活用術の収集を行った。6月後半には、メンバー内でアプリの活用に関する研修機会を設けた。 2016年度後半は、附属小学校や福山市立の小学校教諭との指導案に関する研修会(12月)や、ラーニングスケッチの形式検討とテクニカル研修会として、ICTを使うラーニングスケッチの工夫を試みてきた(2017年1月)。2月では、1月の話し合いを受けて、福山市立の小学校が校内研究会の学習指導案としてラーニングスケッチを活用した。それについても教員向けアンケートを実施し、2017年度の学会発表として準備を進めている(6月)。また、公立小学校(鳥取県)の生活科、総合的な学習の時間の指導案としてラーニングスケッチが援用されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度の進捗状況としては、小学校の学習指導案の試作が少しずつ出来上がってきた点において、一定の成果が得られてきたととらえている。しかし、教員と研究者との意見交流を踏まえて少しずつ改良している点が評価されるとはいえ、進行がゆっくりである点でやや遅れている。そのため、学習指導案の分類・分析に十分な時間が取れなかったり、作成のベースともなる保育案との比較検討や保育者側からの評価、さらには保育者による活用後の改善案の集約等に着手する準備(協力体制の整備等)に、遅れが生じてきていたりしている。これらの点は、2017年度の上半期重点項目として取り組むことも可能であるので、著しい進行の遅れととらえていない。それゆえ、全体の進捗状況としては「やや遅れている」との認識である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度(2017年度)の推進方策としては、まず上半期に学習指導案のフォーマットの確立をめざす。その後の改善・改定も有りとしながらも、その時点の完成を迎え、広くその評価を問うところまでを目標とする。そのために、保育者の意見等も反映できるように、保育案との比較や作成プロセスにおける知見の集積を行うことを第一に掲げる。第二としては、ICTなど技術面でのサポートが十分かつ滞らないようにするため、協力体制の強化を検討することである。第三としては、得られたデータやフォーマットの形式等の分類整理を充実させるために月に1・2回程度、定期的に会合を開き、その成果と課題の共通理解を図るようにする点を挙げる。 本研究は、指導案を提案することが最終ゴールであるため、下半期では、上述三点を継続させながら、成果報告の一部として学会等での発表を行い、意見収集に心がける。完成に向かう学習指導案は、理科学習指導案の試作等も参考に、生活科・総合的な学習の時間でのそれをめざし、活用化を広く求めず、幼小の連携、小学校低学年、高学年などで焦点化し、その第一ステップとしてのアイデア整理と効果検証をていねいに行う予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度では、実践を通した学習指導案のフォーマット検討に関する対応件数が少なかったため、費用の繰越が生じた。またそれに関係した消耗品等の費用面も繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年の使用計画としては、以下の点に重点をかけて使用することを考えている。 1 開発・実践サポート いくつかの学校園、協力教員の勉強会・研究会にかかわる費用面とともに具体的実践に関わる消耗品等への対応を考えている。2 データの整理分析 実践等で活用した利点・改善点について、アンケート等を実施する予定である。それで得られたデータの整理分析にかかわる諸費用に当てる。3 成果報告(学会発表、報告書関連) 本年度は、調査等で得られた結果・考察をもとに複数の学会で発表することを考えている。その際の旅費等に当てるとともに関連した準備段階での諸費用と発表後の論文作成等にかかる諸費用としている。
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