2017 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラムの確立
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16K13582
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
高橋 由希子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10582778)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 緩和医療 / 終末期がん患者 / 口腔関連QOL / 介入研究 / 専門的口腔ケア / QOL (=quality of life) / palliative care |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは、日本の死亡原因の第 1 位である。がん患者が最後まで自分らしく生活するためには、治療だけでなく、口腔管理も重要である。私たちはがん患者の口腔管理の重要性について長年研究を行ってきた。 これまで末期がんの患者のみに行われてきた緩和医療は、治療の早期から行われるようになってきた。そのため歯科でもがん患者の様々な症状に対応した口腔管理法が開発されてきた。しかし、末期がんの患者のうち歯科受診が必要な患者は 43.4%、口腔内が乾燥した状態にある患者は 100%で、口腔管理を必要とする患者に治療が行き届いていない。なぜなら、患者に対する専門的な口腔管理ができる歯科医療者が不足しているからである。この現状を改善するために、専門的な口腔管理を学ぶ教育プログラムを提供し、患者に対応できる人材を増やすことが急務である。 以前より、このプログラムの開発に取り組んできており、実施と評価を行う段階にある。がん患者は急増しており、患者が最後まで自分らしく生きるために様々な治療が検討されている。その中で、終末期がん患者の口腔管理の重要性が高まっている。 しかし、患者に応じた口腔管理を専門的にできる歯科医療者は不足している。現状を改善するために「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」を実施し、終末期がん患者に応じた口腔管理を専門的に行う歯科医療人を増加させることが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」の開発に取り組んできた。このような終末期がん患者に応じた専門的な口腔管理プログラムは現状では実施されていない。教育プログラムは、体系的学習と実践的学習の2つからなり、患者への対応を重視した内容となっている。 28年度は、「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」を実施した。体系的学習では「ターミナルケア~全人的理解・全人的ケア~」「在宅からみたターミナルケア」「ターミナル患者と家族との関わり」「緩和ケアで歯科医師が引き受けること」「緩和ケアにおける歯科衛生士の役割」について学習した。実践的学習では、「ターミナル患者と家族との関わり」(ロールプレイ・ケーススタディ)「栄光ターミナル口腔ケア研究会による口腔ケア実習」「病棟研修6日間」を行った。 29年度は受講者からのプログラムの評価を得て、「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」の評価および改善を行った。日常業務に差支えがないよう日程に配慮し、内容の充実をはかり、より多くの歯科医療人に受講してもらうプログラムとした。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、28年度に実施した人材養成プログラム「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」を再度実施し、再構築したプログラムに対する評価を得る予定である。今後は定期的に「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」を実施し、緩和医療中の患者の様々な状態に合わせた人材養成プログラムを開発していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、平成28年度に実施した人材養成プログラム「終末期がん患者の口腔管理の重要性に着目した教育プログラム」を再度実施し、再構築したプログラムに対する評価を得る予定である。そのため、実習に使用する物品費および講師への人件費旅費とし20万程使用する予定である。 受講者へのアンケートに自由記載欄を作成しているため、その解析用にテキストマイニングソフトIBM SPSS Text Analytics for Surveys for Japanese(¥775,332(税込)を購入する予定である。
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