2017 Fiscal Year Research-status Report
「特別の教科道徳」を要にしたプロジェクト型道徳学習プログラムの開発に関する研究
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16K13586
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
押谷 由夫 武庫川女子大学, 教育研究所, 教授 (50123774)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 「特別の教科 道徳」 / プロジェクト型道徳学習 / 子どもの道徳学習コミュニティー / モラル・アクティブ・ラーニング / 自己形成ノート |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、「特別の教科 道徳」が、小学校で来年度から全面実施されるために、学校現場がその対応に向けて精力的に研究を進められた。それに併せて、中学校においても再来年度から全面実施されるために、研究開発が積極的に行われた。また、平成29年3月に学習指導要領全体の改訂が告示された。そのために、道徳教育の改革と全教育課程の改訂とがどのような関係にあるのかについてもはっきりさせる必要がある。 そのようなことから、今年度は、学校現場の道徳教育の動向を探ることを本研究の第一の課題にした。外国の道徳教育やアンケート調査による実態把握などは、同時に研究代表者として助成を受けている基盤研究(B)での研究に任せて、本年度は、本研究が求める「特別の教科 道徳」を要にしたプロジェクト型道徳学習プログラムの開発に向けた研究に焦点化し。研究協力者に実際に取り組んで頂きその結果を基に考察することを行った。 また、このような道徳学習は、学校全体での取組として行われることによっていっそうの効果が発揮される。そのような観点から、道徳教育に取り組んでいる学校を訪問し、実態を把握すると共に、どのような全体計画や年間指導計画が求められるのかも検討した。そして、これから全教育活動を通して求められるアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)において、道徳教育がどのような役割を担うのか。さらに、これから求められる、開かれた教育課程や、スクール・マネジメント、これから必要とされる資質・能力の3つの柱において、道徳教育の重要性と、そのことを具体化する取組について検討し、プロジェクト型道徳学習プログラムの具体化と学校改革との関連を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は外国調査を本研究では行わなかったために、予算の多くが来年度に回されることになった。これは研究が遅れているというのではなく、年度ごとの研究の重点を変更したためであり、研究目的である「特別の教科道徳」を要としたプロジェクト型道徳学習プログラムの開発に向けて、順調に進んでいる。特に、平成29年3月に告示された新学習指導要領の内容を検討することが、本研究にとっては不可欠である。そのことから日本の教育の動向を踏まえることを重点に置き、その関連で道徳教育の進め方について検討した。日本の学校教育改革の実態把握を優先的に行った。 そのことから、道徳教育改革がすべての教育改革をリードするものであり、現在取り組んでいる研究が、学校教育改革全体に影響するものであることを再確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、本研究の最終年度であることから、大きく3つの方向で、研究計画を立てている。 一つは外国における道徳教育の研究である。アメリカ、EU、韓国、中国ともに、道徳教育教育の取組において政権との関わりもあり不安定なところがある、情報交流は深めているが、確たる方向性を再検討しているところもある。それらの情報を再度確認しながら、現地研究を行い、実際に取り組まれている道徳教育プログラムと比較しながら、本研究で開発しようとしているプロジェクト型道徳学習プログラムの具体的展開について検討していきたい。 二つは、研究成果について一応のまとめを行うことである。協同研究している道徳教育実践校での取組や協力者の先生方の実践をもとにしながら、道徳教育プログラムについて検討していくと共に、教育課程全体の改革との関わりにおいて積極的な提言となるプロジェクト型道徳学習プログラムの提案を行いたい。また、小学校では実際に教科書を使った実践が行われており、教科書の内容とかかわらせた提案も行う。 三つは、研究成果の発表である。今年度は小学校教育において「特別の教科 道徳」が全面実施されていることから、道徳教育の具体的展開に関する関心とニーズが高い。できれば、8月と12月に公開発表会を行う。その際研究成果の一部を資料として配付する予定である。 それらをもとにしながら研究報告書を作成し関係者に配布したい。
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Causes of Carryover |
平成29年3月に改訂学習指導要領が告示され、学校教育全体の大きな変革が提案されている。本研究において開発しようとするプロジェクト型道徳教育プログラムは、学校教育全体で行う道徳教育と密接に関連することから、改訂学習指導要領の分析が先決と考えた。そのため、今年度は、我が国の学校改革の実態と道徳教育改革との関連に関する研究と、その中で、どのようにプロジェクト型道徳教育プログラムを開発していくかに、研究の重点を置いたことにより、外国の調査研究については、協力者との情報交換による研究にとどまり、現地を訪問しての研究交流を行うことができなかった。それらを来年度に回したために次年度使用額が生じた。 また、国内の調査研究も研究協力校と研究協力者に実践を取り組んでもらったが、メールや電話でやり取りしたり、大学出張で訪問したりして、全体の会を予定より少なくしたために次年度使用額が生じた。
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