2017 Fiscal Year Research-status Report
高等教育機関における自閉症スペクトラム障害への合理的配慮提供に関する挑戦的研究
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16K13595
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
桑原 斉 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (50456117)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 精神障害 / 合理的配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の解析の結果、開示をしているASDのみで、合理的配慮の要件について、エキスパートによるコンセンサスを得るために、研究期間内に十分な配慮例を抽出することは困難が想定された。そのために、他施設から公表された事例に基づいて、アンケート項目を作成した。各項目について、合理的配慮として妥当かどうかを問うものとし、1 点(全く同意できない)から 9 点(完全に同意する)までの9段階での評価を求める。第1ラウンドでは、参加意志の確認された参加者に、アンケート項目を送付する。第2ラウンドでは、第1ラウンドで得られた統計結果と本人の解答を添付し、再度 9 段階での評価を求める。この段階で平均点7点以上、70%の参加者が7点以上をつけている項目がコンセンサスの得られた項目と判定する(Bisson et al., 2010)方針とした。コンセンサスの得られた項目について、ASD 学生への合理的配慮リストとする。研究計画は、平成29年度中に浜松医科大学倫理審査委員会にて、本研究の倫理審査は承認を得た。 アンケートの項目は、ASDの障害学生支援の症例報告のレビューである、丹治と野呂(2014)、Gelbar(2014)を参照し、両レビューに記載のある支援方法、計74項目全てを用いて作成した。デルファイ法でのアンケート調査の予備的調査として、静岡市こころの健康センターで実施された「障害者差別解消法施行後の学生支援の在り方」講習会に参加した専門家17名を対象に、同アンケートを施行した。 その結果、74項目中34項目(45.9%)で、平均点7点以上、70%の参加者が7点以上という条件を超えていた。また、「記述された支援の内容が十分に理解できない」と答えた項目が、4名の項目が1項目、3名の項目が4項目、2名の項目が4項目、1名の項目が15項目であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の移動に伴い、研究内容の調整が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成30年度内に、精神障害のある学生への合理的配慮の指針(草案)を作成する。アンケート項目・内容を上記の予備的調査の結果を踏まえて、調整する必要がある。また、専門家へのデルファイ調査に当たっては、調査対象者を増やすために、オンラインでの調査を検討しており、予算をオンライン調査に配分するよう、他の研究経費の調整を行う。 また、指針(草案)の作成にあたって、本人への心理教育の内容も検討する必要があるため、他施設での心理教育プログラムの講習への参加、及び申請者が前職、前々職で参加していた認知行動療法プログラムの論文報告を予定している。
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Causes of Carryover |
異動に伴い、アンケート調査の実施に遅延が生じている。また、評価尺度の購入計画の変更も行ったため。これらの予算を最終年度は、ウエブを用いたアンケート調査の費用に配分する予定である。
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