2018 Fiscal Year Research-status Report
視覚入力と社会的認知の相互関係の解明 -他者の目を通した視覚世界の体験-
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16K13599
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
磯村 朋子 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (20771926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視線 / 社会認知機能 / 自閉症スペクトラム |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラムにおいて、他者の顔や行動の観察時や、社会的相互交渉場面などにおいて、特殊な視線配分を示すことが知られている。しかし、その特異性が社会認知機能の障害にどのように結びついているのかは不明なところが多い。そこで本研究では、視覚入力と社会認知機能の相互関係を明らかにすることを目的として、研究を進めてきた。 昨年度までに、パソコンを用いた認知課題によって、社会交渉場面における視線パターンと他者に対する共感性には相互関係が見られる傾向にあることを示した。本結果は論文にまとめ、国際学術誌に投稿した。今年度は、より自然状態の社会相互交渉場面における視線パターンと社会認知機能の関係性を明らかにすることに焦点を当てて研究に取り組んだ。二者間で自由に会話している際の互いの視線および心拍や瞳孔径などの生理活動を同時計測した。現在までに15組のペアのデータを収集し、アイコンタクトや視線逸らし行動とそれらに起因する生理反応についてデータ解析を行っている。予備的な結果ではあるものの、視線逸らし行動を介して生理活動が覚醒から安静へ向かうような傾向が見られている。今後はより自然活動を阻害しない計測方法の開発を目指すと同時に、二者間インタラクションの際の視覚行動と社会認知機能の相互関係を詳細に明らかにしていく。 さらに今年度は11th International Conference on Knowledge and Smart Technology (KST), IEEEにて、自閉症児が示す物理的な知覚特性が怒り顔のような脅威刺激に対する視覚的注意の特性と関係することを示した研究を発表し、学会抄録として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の異動のため、予定していた実験の開始時期が遅れてしまった。しかし、一定数のデータを収集できたこと、成果を発表することができた点は良かったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより自然活動を阻害しない計測方法の開発を目指すと同時に、二者間インタラクションの際の視覚行動と社会認知機能の相互関係を詳細に明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
計画の軽微な遅延に伴い、消耗品や成果発表のために確保していた金額が未使用のままになった。繰越された予算は、予定通り消耗品や成果発表のために用いる。
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