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2017 Fiscal Year Research-status Report

英語を学習する日本人に英語のみ読み書き困難が出現する可能性の調査

Research Project

Project/Area Number 16K13602
Research InstitutionUniversity of Miyazaki

Principal Investigator

櫛山 桐加  宮崎大学, 語学教育センター, 准教授 (30587994)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords言語理解 / 長期記憶 / 短期記憶 / 抽象語 / 文法障害 / 自閉症 / 学習障害 / 書字困難
Outline of Annual Research Achievements

英語の習得が困難な事例として、読字障害を持つ場合があげられるが、読字障害がなくても英語の習得が困難な事例に行きあたり、その認知特性の解明を進めている。
被験者は自閉傾向の中学生で書字困難も持つ。英語学習が非常に困難で、特に英文法と英作文に問題を抱える。原因を探るために認知検査K-ABC、J.COSS日本語理解テスト、LCSA学齢版言語・コミュニケーション発達スケールを実施した。いずれも標準化された検査だが、日本語で文法のつまずきを検出することはできなかった。しかし、被験者は明らかに、英文法の定着に問題があるほか、数学の文章題でも深刻な問題を抱えている。SCTAW標準抽象語理解力検査も実施し、抽象語の理解に困難がある可能性も検査したが、これも非常に高い成績で全く問題は検出されなかった。この被験者を観察すると、数学の文章題では、文中の語を数直線などで表すことが苦手であり、英語では前置詞の意味理解が苦手であることが見てとれる。本人は「前置詞がないと意味の把握が難しい」と話しているため、正確ではないにしても前置詞が理解の助けになっているらしい。
言語理解は非常に長けているが、数字やその他記号の意味付けが困難な可能性があるが、K-ABCでは長期記憶が非常に強いという結果が出る。目に見える問題がありながら、認知的に何がその原因になっているのか、どこでつまずいているのかが、既存の標準化されたテストでは測定できない可能性が高い。今後は、類似した症例を持つ学習者がいないか、あるいは、類似した問題を見せる学習者はどのような認知特性を持つか、研究を進めていく必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

日本語で読字障害がある場合、英語学習が極めて困難になることは、複数の研究者の研究内容から確認することができた。現在は、読字困難以外で英語学習が困難な事例を検証しているが、標準化されたテストを用いても母国語では問題が検出できていない。被験者が、数学の文章題を図式化することができないため、言語の意味を言語で表すことはできるが、数量的な変換が苦手である可能性がある。英語は言語であるが、この学習者にとっては数量的なものを同様で言語で表すことが難しいものの一つであるのではないかと考えている段階である。

Strategy for Future Research Activity

今後1年の研究期間内で、被験者と類似した症例を探すなど、他学習者にも応用可能になるよう、この研究を汎化しなければならない。
また、この被験者が数学文章題にも著しい困難を抱えていることから、数学の文章題の解法プロセスについても認知処理過程の解析を進めなければならない。
一つの教科だけで困難が生じるわけではないため、各教科にどのように影響を与えるのか解明することで、支援方法を模索していく必要がある。

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Published: 2018-12-17  

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