2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K13617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
湯浅 裕美 (福澤裕美) 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20756233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁化 / 狭窄 / 酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱流と磁化を急峻に変化すべく、Alの表面酸化プロセスでナノ狭窄構造を作成した。IrMn等反強磁性体、CoFe等強磁性体を成膜した後、被酸化物となるAlを成膜して酸素ガスを暴露し、ナノ狭窄構造を形成する。その後、上部のCoFe、非磁性体Ptと続けて成膜した。磁化の急峻な変化は、反強磁性酸化物からの交換結合バイアスによる磁化固着と、外部磁場との拮抗を利用して実現する。IrMnのような反強磁性体と強磁性体を接すると、界面に交換結合バイアスが生じて強磁性体の磁化は一方向に固着される。これに対して反平行に外部から磁場を印加すると、反強磁性体から離れたナノ狭窄構造より上の部分の磁化は、外部磁場の方向となる。左向きの白矢印と右向きの黒矢印の間は磁壁となり、中間の方向を遷移しながら急峻に変化することとなる。このように、反強磁性体の交換結合バイアスと外部磁場の拮抗によって、ナノ狭窄構造に磁化が急峻に変化する領域が形成されたことを、磁化測定により確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、ナノ狭窄構造の作成を遂行した。膜厚の制御、酸化条件の最適化を行い、ナノ狭窄構造における磁化の急峻な変化を実現した。更に先行すべく熱流の狭窄も試みたが、狭い領域に温度差を正確に印加することが難しいことが分かり、来年度へ向けた課題抽出に止まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、これまでに実現したナノ狭窄構造をもつ試料に温度差を印加し、スピンゼーベック効果で生じるスピン流をナノ狭窄部分に閉じ込め、増大を狙う。
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Causes of Carryover |
2,300,000円のうち2,271,330円をを直接経費として実験に必要な物品費、旅費などに充当し、既に使用済である。次年度への繰越は28,670円で、節約に努めた結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰越は28,670円は、基板など消耗品の購入量増加に充てる。
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