2016 Fiscal Year Research-status Report
有機デバイス転用を指向したDNAタグ導入ブロックポリマーの自己組織化パターン制御
Project/Area Number |
16K13620
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福島 和樹 山形大学, 有機材料システム研究科, 助教 (70623817)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生分解性ポリマー / 自己組織化 / ブロックポリマー / 秩序構造化 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体製造技術の基盤となる微細パターン作製において,BCP-SA を利用したボトムアップ法は,現行のリソグラフィ技術を用いたトップダウン法よりも省エネルギーで,かつ20 nm 以下の微細構造構築に有利であると期待されている。しかしながら,生成パターンの秩序の精密性において,BCP-SA は多くの課題を有する。近年では,一次元の配向制御は可能になってきたが,未だに高次構造制御には至っていない。 本研究では,ブロックポリマーの自己組織化(BCP-SA)を利用した相分離パターンの構築に対して,メソゲンによる配向性とDNA などの特異的分子認識部位による会合制御を導入し,二次元の秩序パターン形成を目指す。最終的には,半導体用の集積回路モデルへの展開を検討する。本研究期間での達成目標は,直線の一次パターンに「交差」や「角」が秩序性を持って分布する二次元パターンを構築させることを第一とする。 平成28年度は研究代表者が以前に報告している,ブロック間にメソゲン様分子を導入したAB型生分解性ブロックポリマー (BCP)に,「DNAタグ」技術の導入を検討したが,合成に関して技術・スケールの両面で大きな課題に直面し,別アプローチへの転換が望ましいと判断した。このため,先行して片方ブロックに異なる生分解性ポリマーを有する3種の含メソゲンBCPの相分離挙動について解析を進めた。 スピンコート膜に対する原子間力顕微鏡観察の結果,各BCP単独ではスピンコート後のアニーリング処理によって異方性構造が発現した。また,2成分混合系(AB +AB’)では第3成分(B’)の導入により,相分離が促進され,スピンコート直後の状態でも異方性構造が観察された。現時点では,秩序性は高くないものの,ブロック間のメソゲン様構造によって異方性構造の形成が塗布膜上でも促進されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度の当初目標であった,DNAタグ導入型BCPの合成は問題に直面し,方向転換する結果となったためポリマー合成が完了していない。一方で,前倒しして各BCPの塗布膜状態でのパターン形成についての解析が進み,また,メソゲン様分子を含むBCPの2成分混合がアニーリングを必要としない異方性構造誘起に有効であることを見出すことができた。この知見は,29年度における秩序的2次元パターンの構築に向けても有益な情報となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,引き続き,オリゴDNA鎖BCPにを導入する方策を検討するとともに,秩序パターン形成のモデルを構築することにも注力するため,特異的分子認識部位としてビオチンを導入し,ビオチン-アビジン相互作用を2次元パターン構築の起点とする手法を検討する。 一方で,半導体・リソグラフィーや電子デバイスを専門とする外部協力者と連携して,得られるパターン構造の応用展開について,情報交換や議論を深めておく。
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Causes of Carryover |
DNA導入型試薬の購入を予定していたが、合成計画見直しのため、保留にしていた。また実際の配分額の関係で当初購入を予定していた卓上グローブボックスの購入を取りやめた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ビオチン導入型の試薬を代替で購入する。また、構造観察のためのAFMプローブや消耗品の充実に使用する。
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Research Products
(4 results)