2016 Fiscal Year Research-status Report
液相剥離法の高度化による原子層薄膜の作製とデバイス化
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16K13633
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
橘 浩昭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (10357428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿澄 玲子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 副研究部門長 (40356366)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 層状化合物 / 原子層薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、CaSi2、CaGe2などを出発物質として、SiないしGeの単原子層膜を含む分散液を物理的、あるいは化学的に作製する条件を探索して、得られた分散液を用いて薄膜の作製、ならびに薄膜の構造を調べることを研究目的としている。 最初にCaGe2を濃塩酸と反応させる際の反応温度効果を検討した。CaSi2を濃塩酸と反応させる時は、反応温度の違いにより、得られる固体の組成に違いが観測されたが、CaGe2の場合は濃塩酸の反応温度の違いにより得られる固体の組成にあまり違いが観測されなかった。SiHよりGeHの方が空気中で安定で取り扱い易いことも分かった。CaGe2 にCH3Iを反応させ、CaをCH3に変換させてGeCH3粉末を得る方法を用いて、CaSi2にCH3Iを室温で反応させてみたが、SiCH3粉末を得ることはできなかった。これは、SiHがGeHより空気中で不安定であることが原因ではないかと考えている。得られた固体のFT-IRスペクトル、ラマンスペクトル、ならびに粉末X線測定によりデータを取得し、GeHとGeCH3の粉末構造の違いを明らかにした。次に、ゲルマニウム化合物の分散液を得る方法の開発を行った。GeH粉末ならびにGeCH3粉末を種々の溶媒中で超音波照射して分散効果を検討した。トルエンあるいはクロロベンゼン中で超音波照射するとGeH粉末やGeCH3粉末は分散するが、一定期間、分散液を静置すると沈殿が生成して安定な分散液を得ることができなかった。それに対して、N-メチルピロリドン中、GeH粉末やGeCH3粉末に超音波照射することにより、分散液は数カ月も安定に存在することが分かった。それぞれの分散液を用いて紫外-可視分光スペクトルを測定した所、いずれの粉末の分散液も800nm付近から吸収が立ちあがり、GeHとGeCH3分散液ではスペクトル形状に違いが観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GeH粉末やGeCH3粉末の溶媒への分散に適した条件を探索するのに時間を要して、得られた分散液の解析、ならびに分散液からの薄膜の作製や薄膜の構造解析までには至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
GeH粉末とGeCH3粉末が超音波照射することにより安定な分散液を作製できることが分かったので、溶剤の溶解度パラメータを考慮し、置換した化合物が1層ごとに剥離・分散する条件を見出す。また、超音波・マイクロ波・パルス光照射などの外部場照射により、効率よく単原子層に剥離・分散する技術を開発する。得られた分散液から種々の基板上に原子層膜を転写する。光電子分光(XPS)、ラマン分光、走査電子顕微鏡(SEM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、表面電位計などを用いて、薄膜の組成、化学構造、表面モルフォロジーなどを評価し、意図した組成や構造の薄膜が形成されているか検討する。特に、ドメインのサイズ、欠陥、酸化の影響を受けていないかなどを確認し、実際に輸送特性を測定可能な状態の原子層膜の作製条件を明らかにする。さらに、グリニャール試薬をはじめとする、有機化学の分野で用いられる種々の官能基・分子サイズの置換反応試薬を用いて、層内のCa原子やH原子の置換反応を検討する。
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Causes of Carryover |
研究を加速するの必要な実験補助者を雇用するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験補助者の雇用費に使用予定
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