2017 Fiscal Year Annual Research Report
Syntheis of novel nanomagnets utilizing low dimensionality and extreme environment
Project/Area Number |
16K13640
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 和久 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (70314424)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 低次元性 / 極限環境 / ナノ磁石 / 電子照射 / 規則合金 / FeNi / 照射促進規則化 / 超高圧電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、RFマグネトロンスパッタ法を用いてFe-Ni合金薄膜を作製し、高エネルギー電子照射によるFe-Ni合金の構造変化について研究を行った。まず、単結晶NaCl(001)基板上にFe-Ni合金をスパッタし、表面をa-Cでコーティングした。Fe-Niの成膜温度は623Kである。得られたFe-Ni薄膜は約10-30nmサイズの結晶粒から成る(001)配向不規則相(fcc構造)であり、合金組成はFe-48at%Ni、膜厚は約30nm (t/λ~0.3)であった。このFe-Ni合金薄膜を超高圧電子顕微鏡内で573Kに加熱し、1MeV電子照射(ドースレート1.6x10^24 e/m^2s, 7.1x10^-3 dpa/s)を行ったところ、900s照射後にL10型規則構造に由来する110規則格子反射が検出された。このとき電子線量(トータルドース)は1.4x10^27 e/m^2である。規則格子形成は高分解能像とそのフーリエ変換パターンにおいても確認された。比較実験として、同一試料に対して電子を照射せずに573Kにて18ks保持したところ、規則化は生じなかった。これは通常の熱処理によるFe-Ni合金の規則化には非常に長時間を要するという過去の報告と一致している。したがって、本研究で観察された規則化の機構は加熱環境下での照射促進規則化(radiation-enhanced atomic ordering)であり、L10型FeNi規則相は573Kにおいて安定相であることを明らかにすることができた。弾き出し加速電圧の閾値はFeが370 kV、Niが440 kVであることから、電子照射による規則化には超高圧電子顕微鏡の利用が有用である。このように、照射促進規則化プロセスを用いることにより、熱処理では容易に形成されないFeNi規則相を短時間で生成させることが可能であることを実証した。
|
Research Products
(6 results)