2016 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a search and repair system for metal defect part on the electric devices
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16K13641
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
岩堀 健治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 研究員 (90467689)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / ナノ粒子 / ナノ接着 / タンパク質 / 化合物半導体 / バイオナノデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はナノ電子デバイスにおいて問題となっているナノメートルオーダーの絶縁や断線等の微細な破損箇所を高精度で探索、修復する電子デバイス用“ナノ破壊探索・修復システム”を環境に優しい簡単な方法で実現するものである。 本年度は、まずナノデバイス上の配線の欠陥部分を可視化するために、探索用バイオナノ粒子作製のための蛍光ナノ粒子 (CdS, ZnS) をフェリチン内に作製を行った。現在までに確立されている CdS と ZnS ナノ粒子の作製条件を変更し、S 源であるチオ酢酸の濃度を変え精密温度制御を行う事によって、各ナノ粒子を今までより効率的に作製する方法の構築に成功した。 さらに、修復用バイオナノ粒子作製については、研究計画では Au, Pt, Al の3種類の作製を予定していたが、このうち、Au2S の還元による Au ナノ粒子の作製により Au ナノ粒子を作製することに成功した。さらに還元によって作製された Au ナノ粒子の諸性質の検討も行った。本研究成果を元にすでに論文作成と投稿を行い、先日掲載が決定された。さらに現在、修復用バイオナノ粒子の種類を増やすために、フェリチン内部へ Pt と Al ナノ粒子の作製条件検討を行っている。 また、本年度は探索用バイオナノ粒子用のフェリチン外部表面に修飾する、Au 配線部分を認識結合し破損箇所を探索するための Au 結合ペプチドの探索も行った。研究計画では既に取得済みの Au 結合ペプチドを使用する予定であったが QCM により結合力を測定した結果、 Au 配線への結合力の不足が憂慮され水洗過程でフェリチンが簡単に剥離してしまう可能性が考えられため、取得 Au 結合ペプチドのアミノ酸配列のランダム置換を行うことで、より強力な結合力を持つ Au 結合ペプチドの取得を目指して人工改良を推進中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の 1 年目における課題はほぼ達成できたと考えている。本研究進行中に予定していた Au 結合ペプチドの結合力の不足という予想外の課題が出てきた。しかし利用予定であった取得済みの Au ペプチドが 9~12 残基と短いため、新しく Au 結合ペプチドを取得するよりは、既存の Au 結合ペプチドのアミノ酸置換による人工変異を行う方が短時間で結合力を上昇させることができるのではと考え、対処実験を行っているため本研究の進捗に与える影響を最小限にとどめることができる予定である。その他の課題についてはほとんど解決済みであり、本研究の成果として論文発表も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究計画としては、まず作製した探索用および修復用バイオナノ粒子の諸性質の検討を行う予定である。特に、QCM を用いて結合力の測定を行うことで作製した各種バイオナノ粒子の性質検討と、バイオナノ粒子と基板の結合・剥離機構の解明と相互作用の制御を実現し、応用展開へ発展させる。また平成 28 年度に探索用バイオナノ粒子と修復用バイオナノ粒子の作製はほぼできているが、Al ナノ粒子を内包した溶接用バイオナノ粒子の作製がまだ実現していないため、本バイオナノ粒子の作製を中心に早急に行う。本バイオナノ粒子作製に必要な Ti 結合ペプチドの取得は既に行われており、ナノ粒子作製条件の条件検討を精力的に行うことにより Al ナノ粒子をフェリチン内部に内包し、外部に Ti 結合ペプチドを修飾した溶接用バイオナノ粒子を作製を早急に目指す。 本年度は最終年度にあたるため、最終的にはシリコン基板上に模擬破壊配線を作製し、これらの探索、修復、溶接用バイオナノ粒子を用いて「電子デバイスにおけるナノ破壊探査・修復システム」の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画中の探査用および修復用バイオナノ粒子の作製に必要な金 (Au) 結合ペプチドの探索とセレクションは、本研究において最も重要な課題であるため、計画では Au 結合ペプチドを 10 種類以上人工合成し、それぞれのペプチドに対して結合試験を行う予定であった。しかし、比較的早い段階で Au 結合ペプチドの取得と Au2S ナノ粒子の還元法によるフェリチン内部での Au ナノ粒子の作製に成功したため、ペプチドの作製費用を大幅に節約することができ次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究でペプチドの結合力測定に頻繁に使用している QCM 測定装置について、最近、他研究室で導入した新型 QCM 測定装置の利用が可能となった。新型装置は今まで使用していたものより高感度で、さらに 4 サンプル同時測定が可能なため、本装置の使用により様々な金属結合ペプチドの探索時間の短縮による本研究のスピードアップが見込まれるとともに、ペプチドのより詳細な結合機構の解明が可能となる。本装置で使用する電極は、今までのものより多少高価であり、ディスポーザルで使い回しが不可能なため新型測定装置の電極及び消耗品購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)