2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ・ナノ流体回路融合発振回路式化学演算チップの開発
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16K13649
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
安部 隆 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00333857)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロ流体回路 / 水晶発振回路 / 液体濃度分析 / MEMS / 化学演算チップ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請研究の目的は、流体回路と多点で容量結合した水晶発振回路および遅延回路を有する流体回路を組み合わせることで、被検出対象の物質流に時差を与え、時系列の周波数変化データとして自動的に化学的性質の因数分解的演算結果を出力可能なマイクロ・ナノ流体回路が融合した発振回路式分析チップの開発とその効果を検証することである。 本年度は、流路長を変えることで被検出対象が検出部へ到達する時間を変えた時差式流体回路の原理確認と水滴と油滴の交互導入時における水滴内の成分を時系列の周波数変化データとして高速分析する技術を開発した。具体的には、従来よりも一桁早い0.1秒に1回のスピードで、水滴内のアルコール濃度を分析することに成功した。従来の課題は、液体濃度変化による周波数変化の応答値が小さいためにゲートタイムを短くできないため、測定スピードに限界があることであった。今回、駆動周波数に対して、最も高感度となる最適な検出部電極形状が存在することを明らかにし、ゲートタイムを短くしても(検出可能な最低周波数分解能が大きくなっても)、十分な応答値を得ることができるようになった。以上により、分析速度を大きく改善することに成功し、今年の3月に学会で発表した。また、本回路の駆動用振動子について、理想形状を有する振動子の評価を終え、論文投稿し掲載が決定した。さらに、マクロ流体への適用においても、導電性に敏感な低周波数側(2 MHz)と誘電率に敏感な高周波数側(16 MHz) の複数の水晶発振回路からなるデュアル検出用発振回路の採用により、酸化の変化などの油劣化状態を総合的に評価する技術も獲得した。この技術については電気学会総合研究会で発表し受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、流路長を変えた時差式流体回路の原理確認と液滴内の成分を時系列の周波数変化データとして従来よりは一桁早く高速分析する技術を開発した。以上を、今年の3月に学会発表した。また、電気的等価回路として同等なマクロ流体への適用においても、導電性、誘電性への応答の異なる複数の周波数を同時に利用するデュアル検出用発振回路の着想により、酸化の変化などの油劣化状態を総合的に評価する技術も獲得した。上記の技術を学会で発表するとともに、後者の技術については受賞することもできた。このように、当初計画以上に進展した基本的な構成や性能面での飛躍があったが、遅延流路回路に使用するフィルターの開発が遅れているなど、課題も見られた。 ゆえに、総合的な評価として、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ流体回路を使って化学演算をする本手法を、本研究の担当者としては、味分析、尿成分分析やアミノ酸組成の解析などへ利用したいと考えて研究を進めていたが、展示会で調査すると、企業の視点は全く異なっており、培養液や水質(廃液)の管理などへの応用が期待されていた。特に、水質と関わるイオンの種類と濃度を非接触で推定する技術は、これからのインフラや環境の管理に関わるビジネスで大きな需要を有するようである。萌芽研究である本研究が成功した場合は、次の一手として、水質分析への適用が重要となると考えられるので、それに合わせて、研究の出口方向を修正する必要がある。具体的なその方策として、イオン種の違いによる周波数応答の違いから因子分析をすることを進めている。
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Causes of Carryover |
3月15日に出張した学会の旅費精算は4月以降になるため、次年度使用額が見かけ上で0以上の金額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに旅費として使用されている。残額がある場合は、薬品代として使用する。
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