2017 Fiscal Year Research-status Report
電子線後方散乱法を用いた局所的半導体結晶性分布評価法の開発
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16K13675
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
花房 宏明 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (70630763)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 局所的結晶配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では電子線後方散乱分析法(EBSD)を単結晶半導体の評価に適応し、定量性を持った微小領域の結晶性評価と分布評価を可能とする新しい評価法開発に挑戦している。従来の評価手法である透過型電子顕微鏡(SEM)は原子スケールでの結晶性評価には優れているが定量性に困難さを有し、また面内分布評価は手間のかかる加工を繰り返さなければならず、不得手であると言える。一方、X線や光学的分析法は空間分解能の制限から電子デバイス構造上重要な数十ナノメートル領域の分布評価を極めて困難にしている。本研究では多結晶の半導体や金属の評価に用いられてきた電子線後方散乱分析法を微小領域における結晶の均一性や歪の定量的な面内分布評価手法開発に適用し、光学的評価手法と透過型電子顕微鏡の極微細領域測定手法を補完する新しい評価手法確立を目指している。 平成29年度では平成28年度に実施した理論モデルの構築を引き続き行うとともに平成29年度の研究計画に挙げた実際の評価サンプルを用いた提案法の検証実験を行った。 具体的には(1)平成28年度計画より遅れたことにより引き続き検討していた結晶構造因子と結晶構造体の大きさに起因する欠陥量モデルを合わせこんだ理論的モデルを構築した。また、(2)実際のサンプルに対して欠陥量と結晶均質性を意図的に制御したサンプルを作製して実際のサンプルと提案理論モデルの検証を進めた。その結果、導入した欠陥量の水準に依存した菊池線パターンのコントラストがモデルと同様に推移することを確認した。しかしながら、理論モデルと実測定の強度に大きな差があることが判明した。現在のところ、これは電子線の進入長と脱出深さの依存性により電子線回折強度の減衰が起きていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記したように理論的モデルの構築を行い意図的に欠陥を導入・制御した評価サンプルによる検証実験を進めていたところ、当初の想定に反して電子線進入長と脱出深さの相関関係が関与して理論モデルの強度変化に比して実測定の変化が非常に小さくなっている可能性が判明した。このため理論モデルの改良を進め精緻に評価を行うこと、および研究の再現性をより確実にする必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度で得られた理論研究と結晶性制御サンプルの比較から作製した理論モデルのさらなる検証を行う。また、実際に作製したトランジスタの移動度や閾値シフトと提案法の評価によって得られた結晶状態の評価値を照らし合わせ、トランジスタデバイスの性能向上に資する評価法として実証実験を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 既に購入したもので充分であったことで当初計画よりも安価で済んだため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 前年度に引き続き評価サンプルを作製する実験に使用する他、学外発表・論文投稿のための費用に充てる。
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Research Products
(1 results)