2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノカーボンテンプレートによる低次元・高品質結晶成長技術構築と光素子応用
Project/Area Number |
16K13677
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
牧 英之 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (10339715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光デバイス・光回路 / ナノカーボン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノカーボン材料を用い、その低次元構造をテンプレートとした新規微細加工技術を提案し、現在のリソグラフィー・エッチング技術では実現できない数nmオーダーの微細加工を実現する。加えて、ナノカーボン材料のフレキシビリティー・化学的安定性・低表面エネルギーといったナノカーボン独自の性質に着目して、ナノカーボンを基板とした独自の結晶成長を提案し、従来の固体基板では実現できない基板での薄膜およびドット形成を実演する。最終的には、本手法による微細加工・結晶成長技術を光物性制御や光デバイス開発に広く適用可能であることを示すことを目的とする。 今年度は、カーボンナノチューブをテンプレートとして、一次元ナノワイヤー作製方法の構築とそれによる低次元量子物性の発現に関する研究を進めた。超伝導体である窒化ニオブをカーボンナノチューブ上に形成し、シリコンチップ上に超伝導ナノワイヤーを作製するとともに、その電気伝導測定が可能なデバイスを作製した。その結果、低次元超伝導体に発現するとされる超伝導-絶縁体転移を観測することに成功した。また、低次元超伝導体に特有の磁束のトンネルに相当する位相スリップを観測したが、電極材料の超伝導転移に誘起された位相スリップの変化を観測することに新たに成功した。また、カーボンナノチューブ上に、原子層堆積装置によるAl2O3成長を試みた。その結果、成長条件に応じて、ドット状からワイヤー状の成長制御が可能なことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、カーボンナノチューブをテンプレートとして、金属材料である窒化ニオブを用いたナノメートルオーダーのナノワイヤー成長に成功するとともに、そのナノワイヤーにおいて、超伝導-絶縁体転移などの新たな量子輸送現象の観測に成功した。これは、従来の微細加工では実現が難しい新たな微細加工法と物性制御法を示したものである。また、原子層堆積装置を用いてカーボンなオンチューブ上に誘電体であるAl2O3を成長することで、当初の目的である量子ドットの形成や1次元ナノワイヤーの形成といった成長制御法も示した。さらに、当初の予定を超えて、カーボンナノチューブの励起子発光制御に関する成果も得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度研究を進めた1次元微細加工技術や量子ドット・薄膜成長技術に関する研究を引き続き進展させるとともに、それによる光物性制御に関する研究を進める。また、これによる単一光子生成や光デバイス応用に関する研究も着手して、本研究で提案する低次元構造作製法が、新たな光デバイス実現に有効であることを示す。
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