2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13679
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 剛弘 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70373305)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / ヘテロダイン検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,ヘテロダイン走査トンネル分光(HSTS)法という局所精密分光計測法を開発し,これまで困難であったテラヘルツ波信号や熱ノイズレベルの強度の極微弱信号を原子レベルの空間分解能で検出・解析することが原理的に可能なことを示しました(Sci. Rep. 4 (2014) 6711.).本研究では,HSTS法で実際に計測を行う際に信号検出限界を定める要因として避けられなかった次の3つの課題に取り込み,それぞれの要因の原理的起源を基礎科学的に明らかにして1つ1つ解決します:(1) 極めて静かな観測環境の構築,(2) 極低温高感度観測環境の構築, (3) ショットノイズの削減.これにより,固体表面上に吸着させた錯体分子の単一スピンの電子スピン共鳴をpeVのエネルギー分解能と原子レベルの空間分解能で高感度に精密分光解析することを目指しています. 本年度は走査トンネル顕微鏡システムの周りに電磁干渉シールドを設置し,電磁波の遮断を実現させるとともに熱処理を施したミューメタルによる浮遊磁場遮断を実現し,室温におけるトンネル電流のスペクトルアナライザ上での信号強度がこれまでよりも2ケタ程度低いノイズレベルの実現に成功しました.またこの環境下で走査トンネル顕微鏡による画像取得,ヘテロダイン検出の取得にも成功し,あらたに多信号のヘテロダインを実現させ,その特性を精密に調べて明らかにする実験を行うことができました.この実験内容について現在論文を執筆中です.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定としていた通り,極めて静かな観測環境を構築することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り,ヘテロダイン走査トンネル分光法を用いて単一分子のスピンの挙動を原子分解能の空間分解能下で可視化して明らかにする実験を行います.
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Causes of Carryover |
本年度予定していたプリアンプ周りの改善を行わずとも極めて良好なノイズ環境が得られたことと試料作製及び試料へのアクセスプローブの改善に来年度予算が必要となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試料作製及び試料へのアクセスプローブの改善に使用する予定です.
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Research Products
(1 results)