2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13697
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
米田 仁紀 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (00210790)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 回折光学 / 高出力レーザー / 光学破壊 / エントロピー波 |
Outline of Annual Research Achievements |
高フラックス制御の重要な要素であるオゾンアシストガス回折光学素子について、その屈折率生成方法については、未だ解明できていない部分があった。その理解は、現在、実験的に最高回折効率が90%を超えているにもかかわらず、同一条件でのばらつきが±10%程度あり、これを解決できる可能性がある。このため、密度変調の生成過程の物理をより詳細に調べることが必要となった。その結果、密度変動生成に新しい波の過程が使われていることが分かり、これを米国のR. M. More博士と議論した。議論の結果、この密度変調は気体力学としてもエントロピー波と音波の重ね合わせになることが分かり、興味ある事象であることが分かった。そこで、流体シミュレーションと理論解予測を明らかにし、実験としてもその理論モデルを検証するための詳細な光学計測系を準備し、測定することにした。主には、振動周波数とダンピングである。また、高出力レーザー実験のために、2J、Nd:YAGレーザーシステムを構築し、高フラックス実験の準備も行った。このシステムでは、回折光学系との光軸調整を精度よく行うため、数Hz程度の繰り返しを保ちつつ、2Jの出力が可能なように設計、増幅部への光学系設置を行った。これらは、3回の国際会議発表、4回の国内会議発表として成果報告を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
詳細な密度変調形成を調べるためには、紫外レーザーがオゾン分子に吸収されてから、酸素の密度変調が生成する過程を、2色のプローブ光源を開発し、さらに、空気中の酸素の影響を除外するために、装置全体を二酸化炭素でパージするなどの手法をとり、密度変調形成過程を調べた。その結果、オゾンは紫外線を吸収後、即座に基底状態のオゾン分子に戻るとともに、酸素分子との衝突で、単一な空間周波数に近い温度変調の搖動を与え、その後、エントロピー波と音波が共存した波が発生することが分かった。興味深いのは、このうちのエントロピー波の部分は数周期で突然減衰し始めることも観測できた。 これらを受けて、これまで、局所的な密度変調をレーザー吸収が引き起こし、それが全体として回折格子形状をしていると考えていたが、すべての部分の変調は、系の固有振動数で決まる波の重ね合わせであるということが分かった。このことにより、より精度の高い周期構造を初期に作れば、より単一な波を励起でき、高効率の回折光学系につながることが考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、もっとも重要な高回折効率を安定に実現する手法について、書き込み光である248nm光学系の面精度を改善するとともに、新たに干渉によらない周期構造をもったエネルギー分布付与方法を開発している。これができれば、安定な回折光学実験を実現し、最初の論文化を行う。これとは別に、気体力学研究としても興味ある結果が出てきたので、そのパラメータ依存性、理論との比較を行い、論文にまとめていく。
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Research Products
(5 results)