2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13704
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 栄治 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 専任研究員 (80360577)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レーザー / THz発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い,昨年度開発した DC-OPA レーザーシステムを使用して THz (最大波長 15 マイクロメーター:um) 発生実験を行った。 DC-OPA から出力されたチャープシグナル光 (1 - 1.6 um) 及びシャープアイドラー光 (1.6 - 2.2 um) を用いた差周波発生により THz 発生をおこなった.差周波発生の非線形媒質として AgS, AgSe 結晶を使用した.AgS は0.47 - 13 um, AgSe は 0.71 - 18 um 域において良好な透過特性を持つ結晶であるが,ダメージ閾値が低いため差周波発生に高エネルギーパルスを使用できないという問題を抱えていた.実験ではチャープ光を用いることで結晶のダメージ問題を回避し,差周波発生において高エネルギーパルスの投入を可能にした.広帯域且つ高効率な差周波発生を実現する為,ポンプとして用いるシグナル及びアイドラー光の分散量だけでなく符号の最適化も行い,波長変換特性のデーターを収集した.現在,AgS 結晶において 3 % 程度の変換効率が実現されており,出力エネルギーとして 100 マイクロジュール が 30 THz 域において得られている.これら実験的に導いた差周波発生の最適レーザー条件から出力スケーリングパラメーターを求めることが可能となり,ミリジュールクラスの THz 発生への指針を得ることに成功した. また,3 - 4 um 帯において高強度中赤外超短パルスを得る為,MgO 結晶を媒質とした DC-OPA 実験にも並行して取り組み, 5 % の変換効率でパルスエネルギー 30 ミリジュールを実現した.DC-OPA の増幅スペクトル帯域から,フーリエ限界パルスとして 66 フェムト秒を得ることが可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DC-OPA と差周波発生の組み合わせにより,研究の目標であった 30 THz のパルスが得られており,更に差周波発生レーザー条件からミリジュール出力を得る設計指針を確立したことから,当初の研究目的をおおよそ達成することができたと考える.ただ中赤外光のパルス圧縮に使用するバルク型コンプレッサーの納品が外注メーカーのミスにより遅延したことから,最終的なパルス圧縮を達成できておらず,軽微な遅延が発生している.
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Strategy for Future Research Activity |
バルク型パルスコンプレッサーを使用して,得られた光パルスのパルス圧縮に取り組む.さらに実験から得られた AgS 結晶の差周波出力スケーリングの指針に従い,大型の非線形結晶を導入し THz 発生実験を行う.
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Causes of Carryover |
(理由) 他予算からも本研究について助成が得られたので,本研究費から拠出する予算を低く抑えることができ,結果余剰金が発生した. (使用計画) THz パルス圧縮用の固体材料を購入する予定.
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Research Products
(26 results)