2016 Fiscal Year Research-status Report
中空球状ナノカーボンのプラズマ合成技術の開発と分子吸蔵効果の実験的検証
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16K13709
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
永津 雅章 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (20155948)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズマ応用 / ナノ材料 / 分子吸蔵 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、直流アーク放電による中空球状ナノカーボン微粒子のプラズマ合成技術の開発とその生成メカニズムの物理的解明を行うとともに、ナノカーボン微粒子の分子ガス吸蔵効果およびセシウム等の金属イオン等の吸着効果を実験的に明らかにすることを目的としている。平成28年度では、グラファイト層で被覆された各種形状のナノ微粒子の生成及び構造制御、さらにセシウムや銅イオンなどの特定金属イオンの吸着技術に関する研究を実施した。平成28年度の主な研究成果は以下の通りである。 1.直流アーク放電による中空球状ナノカーボン微粒子の作製と生成メカニズムの解明:電極金属材料として銅や銀を用いた場合にのみ、中空状カーボンナノカプセルが作製できることを実験的に示し、それらの生成メカニズムの解明を行った。金属原子の熱膨張係数が大きいため、冷却時にコア微粒子が収縮し、被覆したグラファイト層が内向きの圧力によって破断し、その結果コア原子が放出されるモデルを提唱した。 2.ナノカーボン微粒子の分子吸蔵効果の検証:ガス吸蔵特性を有するマグネシウムなどを炭素電極に混入してグラファイト被覆ナノ微粒子の合成を試みたが、マグネシウムの融点が低いため、中空球状ナノカーボン微粒子の形成には至っておらず、29年度も継続して行う。 3.カーボンナノ微粒子を用いた金属イオンの吸着特性の評価:電解溶液中のセシウムあるいは種々の重金属イオンのナノ微粒子による吸着除去実験を行った。セシウムイオンの除去では、プルシアンブルー粉末を磁気ナノ微粒子表面に化学的に固定化することにより極めて良好なセシウム除去特性を有することを報告した。またワンステップDCアーク放電によるアミノ基表面修飾したナノ微粒子の作製技術を開発し、研究成果を報告した。 上記の研究で得られた成果は、国際的に評価の高い学術論文に5編、国際会議、国内学会に12件発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に示した実験項目のうち、1.直流アーク放電による中空球状ナノカーボン微粒子の作製と生成メカニズムの解明については、種々の金属をコア材料とした実験を行うことにより、それらの構造制御や生成メカニズムを明らかにし、当初の目標をほぼ達成している。それらの研究成果はNanotechnology(IF=3.57)に発表した。また、2.ナノカーボン微粒子の分子吸蔵効果の検証については、当初計画したガス分子吸着材を炭素電極に混入して中空球状ナノ微粒子の合成を試みたが、金属材料の融点が低いため、中空状ナノ微粒子の形成には至っていない。しかしながら、様々な融点を有する金属材料を用いたナノ微粒子作製実験の結果より、銅や銀を用いた場合には中空状ナノ微粒子、鉄やニッケルなどの磁性体や金を用いた場合にはグラファイト被覆ナノ微粒子構造となることを実験的に検証し、Nanotechnologyに報告した。なお、分子ガスの吸蔵実験については、29年度も継続して行う計画である。3.カーボンナノ微粒子を用いた金属イオンの吸着特性の評価については、電解溶液中のセシウムイオン除去実験においてプルシアン・ブルー粉末を磁気ナノ微粒子表面に固定化することにより極めて良好なセシウム除去特性を確認した。また、銅イオン検出実験では、金ナノ微粒子の表面プラズモン特性を利用した検出法を採用することにより、これまで報告された結果よりも低濃度の銅イオンの検出に成功しており、現在論文投稿中である。またワンステップでナノ微粒子の表面修飾を行うアーク放電法を開発し、各種ナノ微粒子の作製に成功した。これらの成果は、CarbonおよびAppl. Surf. Sci.に報告している。 以上のように、当初の研究目標をほぼ達成することができ、学術論文に5件、国内外の学会に12件発表を行うなど、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に実施した研究項目の進展状況を踏まえ、平成29度では平成28年度に実施した実験項目1-3を継続して行う予定である。なお、平成28年度において、当初の計画通りに進展できていない項目(2)については、平成29年度の研究項目の内容の見直しを柔軟に行うことを考えている。以下に、平成29年度に実施する実験項目を記述する。 1.グラファイト被覆金属ナノ微粒子からの中空状カーボンナノ微粒子の作製:すでに銅金属を電極材料として用い、作製に成功している中空球状ナノカーボンに加えて、鉄やニッケル等を用いたグラファイト被覆ナノ磁性体微粒子を用いて、内部の鉄やニッケルのみを硝酸等で化学的に溶融させ、内部金属を除去する方法でクラックのない中空カーボンナノカプセルの作製を試験的に試みる。この方法で作製した中空ナノ微粒子を用いて、水素吸蔵特性および金属イオン吸着特性を調べる。 2.中空球状ナノカーボン微粒子の原子分子吸蔵効果の検証:平成28年度に引き続き、研究を鋭意遂行する。 3.中空状カーボンナノ微粒子を用いた水和性セシウムイオンあるいは重金属イオンの吸着特性の評価: 平成28年度に引き続き、研究を鋭意遂行する。 上記の2 年間のわたる研究期間に得られた成果を、国際的に評価の高い学術論文あるいは主要な国内学会や国際会議で発表を行う予定である。
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] The Future of Nanotechnology for Medical Applications2016
Author(s)
Masaaki Nagatsu, Anchu Viswan, Tomy Abuzairi, Mitsuru Okada, Kuniaki Sugiura, Retno W. Purnamaningsih, and Nji R. Poespawati
Organizer
Joint International Conference of ICNERE 2016 and EECCIS 2016
Place of Presentation
Malang, Indonesia
Year and Date
2016-10-31 – 2016-11-02
Int'l Joint Research / Invited
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