2016 Fiscal Year Research-status Report
熱モードスペクトロスコピーによる革新的熱伝導率測定法の開発
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16K13719
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻 博次 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90252626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50452404)
石田 秀士 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (80283737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱モード / 固有値 / 固有ベクトル / 熱伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小機能性固体の熱モードという新しい概念に基づいた理論解析および有限差分法という数値解析法を考案・実施し、任意形状の試料に対して、熱モードの緩和時間と対応する温度分布を決定する手法を開発することに成功した。また、レーザーポンプ・プローブ光学系を開発し、微小試料の表面に局所加熱と局所温度変化を計測するシステムを確立した。励起には高出力のグリーンレーザー光を用い、検出には、チタンサファイアフェムト秒レーザーを用いた。熱モードの腹部にポンプ光により局所加熱を行い、熱モードの別の腹部において、プローブ光により光熱変換効果により温度計測を行う。これにより、微小ダイヤモンド、微小アルミニウム、微小ニッケル、微小銅等の様々な微小固体に対して、熱モードを励起させ、その緩和時間から熱拡散率を正確に計測することに成功した。さらに、任意形状への適用可能性を示すために、解析解の存在しない四面体に対して計測を行い、開発した計算アルゴリズムにより、その熱モードの選択的観測に成功した。温度分布を級数展開し、リッツ法を用いてモード解析を行うアルゴリズムを新しく完成させた。さらに、理論解析および数値シミュレーションを行うことにより、熱モード現象が、表面に成膜した熱抵抗膜や試料内温度分布の影響を受けにくいことを示すことができた。これらの成果は、我々が提案する熱モード現象を用いた熱伝導率計測法が、従来法では決して達成し得ない計測精度を実現することを裏付ける結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた光学系の構築、熱モードの腹と節を利用したモード選択原理の確立、理論および数値シミュレーションによる熱モード現象の再現等の目的はすべて達成することができた。加えて、本手法の原理を任意形状にまで拡張し、実際にこれが可能であることを、実験的・解析的に証明することに成功した。さらに、理論解析および数値計算を新たに構築し、熱モード現象が従来の計測法よりも優れていることを証明することに成功した。これらの成果は当初の目標を大きく超えるものであり、当初の計画以上に進んでいると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの手法では計測が極めて困難であったダイヤモンド等の高熱伝導率試料に対して計測を行い、同位体効果や結晶粒径効果を探求する。また、位相変調法も考案し、さらに高精度に熱モードを観測する実験系を構築する。
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Research Products
(3 results)