2016 Fiscal Year Research-status Report
Innovative paste-type solar cell
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16K13720
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 喜峰 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60380573)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 太陽電池 / ペースト / Si / ボールミリング |
Outline of Annual Research Achievements |
安価なSiナノ結晶粒子ペーストを製作、塗布して太陽電池を製造するための基礎プロセスの検討を行った。高純度Si原料をミリングなどによりナノサイズ化し、ペースト状にした後、安価な金属基板などにp型、n型Siペーストをそれぞれ塗布することにより、太陽電池に必要なpn接合を製作することに成功した。 今年度はミリング中にSiの酸化を防ぐために還元性溶媒中と不活性ガス中でのミリングを試み、酸化を抑えられることが確認できた。中古のグローブボックスを改良し、脱酸素・脱水分カラムを通して酸素・水分を除去した高純度Arガスを導入し、酸素濃度は500ppm以下に、露点も-13℃以下に抑えられた。ただし、本グーロブボックスは真空に引けないため、ガス置換に時間がかかる上に、ゴムなどから酸素が侵入してきてしまうため、これ以下に下げることは困難であることが分かった。グローブボックス内で金属基板へのSiペースト塗布→乾燥→炉内での熱処理を行えるようにした。 Fe基板上にペーストを塗って、pn接合の製作を試みた。過去にMo金属基板上にp型、n型のSiペーストをそれぞれ塗布して製作し、整流性を得る事に成功した。実用化には安価な金属基板を用いる事が必要不可欠で、一歩前進して、Fe基板を使用する事を試みた。Fe基板に直接Siナノ結晶粒子のペーストを塗布するとFeがSi中に拡散し悪影響をおよぼす。拡散を防ぐため、Fe基板上にNiまたはAl薄膜を製膜してから、Siナノ粒子ペーストを塗布した。その後、プレス機で膜を基板に密着させてから、水素還元雰囲気中にてアニーリングした。圧力が上がるほど、膜の密着度が上がり、剥がれが少なくなることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究費を前倒ししてFTIR装置を購入できたお陰で、酸化の度合いが明確に測定でき、上記プロセスの評価が短時間でできた。29年度に予定していた、超音波プレス法によるSi微結晶粒子の金属基板への固着やFe基板の各種金属コーティングも先行して、着手できており、研究が進展し計画よりやや早めに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Si微結晶粒子ペーストの固着法: Si微結晶粒子ペーストを基板に塗布するだけだと、密着性に問題が生じる可能性がある。そこで、本研究ではプレス法及び強力な超音波を用いて、Si微結晶粒子を金属基板に固着させる手法を試みる。 2.金属基板・コーティング材の最適化: 安く頑強に作るために例えば鋼板などの基板を選択できるが、通常、金属基板からは不純物や金属イオンが半導体に拡散して、デバイスを作ることが困難である。そこで、基板の高純度化や基板からの不純物拡散を防止する障壁層などが必要となる。本研究では高純度の金属基板(純鉄、ステンレス、アルミ等)を用い、その基板から不純物がどの程度入り込んでいくかを、SIMS分析、pnダイオード特性、光起電力にどの程度影響を及ぼすかを確認し、次の改善へとつなげて行く。さらに、拡散の少ない金属材料などでコーティング(例えば、Al,Ni,Ti,Sn,C,Sb等)においても、材質や純度の最適性を追究し、より適切な材質を求めていく。 3. 太陽電池の製作: p型Siペースト、n型SiまたはTiO2 ペーストをそれぞれ安価な金属基板などに塗布して、太陽電池の製作することを試みる。この際の問題点としては、ペースト作製や塗布工程に半導体の電気特性に影響を及ぼす欠陥や不純物(酸化を含む)が入る事が考えられる。これが入らないようなプロセス法を編み出す必要がある。一手法としては、不活性ガスを入れ、クリーン度を保ったグローブボックス内での太陽電池の製作を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品が思ったより、少なくて済んだため、わずかに残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品に充てる予定である。
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