2018 Fiscal Year Annual Research Report
Demonstration of large-scale nano X-ray CT by using multislice X-ray ptychography
Project/Area Number |
16K13725
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 幸生 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00415217)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
プリセッション測定を組み合わせたマルチスライスX線タイコグラフィの応用研究として、多層配線基板の観察を行った。試料には、インテル社製の中央処理装置(CPU)Skylake使用した。CPUは6.5keVのX線が透過するように裏面を30um厚さにイオンミリングで平板状に加工した。タイコグラフィ測定は大型放射光施設SPring-8のBL29XULにて行った。試料に対する入射X線角度-5度から5度の範囲で変化させ、各角度で試料を光軸垂直面内に垂直走査させ、走査各点においてコヒーレントX線回折強度パターンを取得した。従来の位相回復計算法では、入射X線角度を大きく変化させた際、マルチスライス位相回復計算法による試料像再構成ができなかったため、新たに逐次近似マルチスライス三次元再構成法を開発した。これにより、入射X線角度を大きく変化させても空間分解能を損なうことなくマルチスライス位相回復計算が可能となった。それを用いて放射光実験データを解析したところ、CPUの銅多層配線部について240nm厚さの層間隔で31層再構成することに成功した。再構成像の空間分解能は試料全体に対して投影近似を適用した場合と比べて向上しており、配線の上層からトランジスタに近い下層に向けて線幅が細くなっている様子が鮮明に可視化された。また、層間を接続するビア配線構造も確認できた。以上のように、平板状試料の高分解能三次元観察法としてマルチスライスX線タイコグラフィ法が確立され、今後、本手法を用いた様々なデバイス試料の非破壊検査への展開が期待される。
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