2017 Fiscal Year Research-status Report
構成的ガロア理論と数論的基本群における計算代数手法の揺籃
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16K13745
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 博昭 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60217883)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,楕円曲線の有限位数点から生じるポンスレ多角形に関連する周辺の課題について考察をすすめた.とくに三角形のモジュライ円盤の幾何学的性質を反映するパラメーターと密接な関係があるノイベルグ円上の点の偏角との対応関係について具体的な関数を特定し,その半径方向の漸近展開の係数をチェビシェフ多項式と関係させるアプローチを行った.べき指数2の虚2次体とオイラーのidoneal数のリストをもとに,2次形式論の古典的命題について計算機を用いた検証を行った.有理数体上の単結節型の平面木で表されるグロタンディークデッサンのBelyi関数を,Pakovich図式に基づいて算出する問題について結節点における分岐が3または4の場合について発表した原著論文 H.Nakamura "On mono-nodal trees and genus one dessins of Pakovich-Zapponi type" (Tokyo Journal of Mathematics,Vol.39 No.3,2017年3月刊行)の結果を拡張する方向の一つとして,結節点における分岐数を増やす場合に関する昨年度の考察をについて補足的な整理をした.また課題に関連して研究室の大学院生と協力して,ヤコビ多項式を用いて与えられるダブル・フラワー型のグロタンディークデッサンの挙動,複比型ネーター問題に由来する6次2面体群の生成多項式に関連するモジュライ空間の形状,および楕円曲線の有理点を利用した三乗和と五乗和に関するディオファントス方程式の自然数解の探索について考察をすすめ,補助的な計算機実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
打合せのための出張の日程が取れず次年度に延期したことを除き,本務地で行う予定であった関係する研究は進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの考察をまとめ,最終年度に向けて成果発表を目標に進める.
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Causes of Carryover |
大学での本務において当初の予想を上回る状況があり,海外の研究者との打ち合わせのための出張日程が取れなかったので,旅費の支出が縮減した.次年度において内外の研究者との打ち合わせを補充することを含め,情報収集作業を追加的に実施する予定である.
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