2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K13746
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 新之介 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60646909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 竜司 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30252571)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非可換代数幾何学 / 非可換射影空間 / 導来圏 / 正則Poisson構造 / Hirzebruch曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
非可換Hirzebruch曲面についての研究結果をまとめたプレプリントarXiv:1903.06457を発表した。アーベル圏と一般化された複素構造は同じ変形理論を持つため、後藤による一般化された複素曲面の変形複体に関する結果より、Hirzebruch曲面の非可換変形は次数が4以上の場合に障害を持つ。一般に障害を持つ変形は複雑であるが、Van den Berghの仕事により、Hirzebruch曲面の非可換変形は全て射影直線上の階数2の局所自由層両側加群によって記述できる。このような結果があるということは、非可換代数幾何学側の強みと言える。 我々は上述のプレプリントで局所自由層両側加群の明示的な分類を与えた。さらにこれを用いて、対応する非可換Hirzebruch曲面の導来圏に充満強例外対象列を構成し、その応用として一般の非可換2次曲面との導来同値を証明した。また、2次のHirzebruch曲面と重み付き射影平面P(1,1,2)の導来同値の非可換変形を特別な場合に確認した。これはA1特異点のMckay対応の非可換変形とみなせるもので、今後調べるべきことが多く残っている。 非可換P(1,1,2)は興味深い対象であり、これを利用して非可換3次元orbifoldの興味深い族が構成できることがわかる。後藤との議論により、それに対応する正則Poisson幾何が存在することを確認した。 また、AS正則3次元quadratic代数の中心拡大として得られる4次元AS正則代数の直線加群のモジュライ空間について詳しく調べた。これは、幾何学的には非可換3次元射影空間内の直線のモジュライ空間を調べたということである。モジュライは2つの既約成分を持つが、主成分は射影直線の27次分岐被覆を与える。GAPによる計算で、この分岐被覆のモノドロミーを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他の研究に時間がかかったため、非可換代数幾何学で得られた結果や知見をポアッソン幾何や一般化された複素構造に関係する研究に応用するところまで行けなかった。研究期間を延長したので、次年度にその部分に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の非可換3次元射影空間に対応するのは、(通常の複素)3次元射影空間の(1,3)型ポアッソン構造による一般化された複素多様体としての変形である。そのような一般化された複素多様体の変形複体を後藤の理論で計算する際に、我々のモノドロミーの計算結果が利用できるはずである。これに取り組みたい。 また、一般化された複素構造をorbifoldに拡張するという問題も考えたい。非可換変形の場合、schemeからDeligne-Mumford stackへの一般化は決して自明ではなく、特にtwisted sectorからの非自明な寄与によって変形にextraな自由度が生じる。これに対応する現象は何か、という点を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
他の研究課題や教務等の業務に想定以上に時間が取られたため、本研究課題に取り組む時間が十分に取れなかったため、研究期間を延長して対応することとした。
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