2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K13747
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 隆 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60422391)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 指数和 / 概均質ベクトル空間 / 概素数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Frank Thorne 氏(南カロライナ大)との共同研究で、概均質ベクトル空間に伴う指数和の、解析数論への応用をかなり深く追及した。その成果として、概素数判別式をもつ3次体と4次体が「非常に多く」あることを証明した。3次体の場合は高々3個の素因数をもつ判別式、4次体の場合は高々8個の素因数をもつ判別式で、これを証明することができた。3次体の場合は先行研究では7個が最良であり、4次体の場合はこのような成果は以前にはなかったようである。
それぞれ、2元3次形式の空間と、3変数2次形式の対の空間を用いて証明する。証明のツールは、以前に示していた指数和の評価に加えて、篩法の Richert や Greaves の精緻な重み篩の結果と、近年に確立された Bhargava の幾何篩を変形させたものを用いる。解析数論と古典的な代数幾何学と組み合わせるもので、特に幾何篩の変形について論理を細部まで詰めて、証明を完成させた。論文を執筆し、学術誌に投稿した。
指数和そのものについても、いくつかの概均質ベクトル空間において、計算を進めた。概均質ベクトル空間の指数和は、量子化されたさまざまな特殊関数と関係があると考えられる。2018年3月5日~7日に研究集会「多重三角関数とその一般化」を開催した。特殊関数を研究する研究者が集まり、純粋数学から数理物理に至るまで幅広い分野の研究発表が行われた。出席者とさまざまな研究討論を行った。ここで得た知見は、今後の研究に役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概素数判別式について、先行研究を十分に上回る成果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
指数和の計算を進め、その構造的な意味を考える。
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Causes of Carryover |
研究費を効率的に用い、残額が発生した。研究会の開催、研究補助者の雇用、数値実験や論文執筆のための電子機器購入に使用する。
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