2016 Fiscal Year Research-status Report
有限対称空間および関連するグラフスペクトル論の視点による整数論の研究
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16K13750
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平野 幹 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (80314946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 義徳 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (00533035)
原本 博史 愛媛大学, 教育学部, 講師 (40511324)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 代数学 / 整数論 / グラフスペクトル論 / 有限対称空間 / 有限特殊関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、代数的に定義された有限正則グラフに対する明示的スペクトル論による整数論の考察に対する基本事項の整備や方向性の確認、研究体制の立ち上げのため、以下の二つの系列の研究を実施した。(1)フロベニウス群を対象としたケイリーグラフに対するラマヌジャン性判定境界問題についてのこれまでの成果をまとめた論文を出版すると同時に論文に記載した内容の延長線上にあるより詳細な場合の考察を継続したほか、一般四元数群や一般線形群型に対する同様な問題について予備的な考察を行った。(2)有限ハイゼンベルク群に関連した有限ゲルファント対に付随する球関数についての明示的研究を実施し、そこに現れるガウス和についての有限特殊関数としての性質の考察を行った。関連する話題として、実代数群の調和解析の整数論の視点から一般球関数に対する既知の成果をまとめたほか、ガウス和およびヤコビ和などの有限特殊関数の明示的評価と整数論との関連性についての様々な考察を行った。
素数の多項式による表現に対するハーディ・リトルウッド予想と巡回的ケイリーグラフに対するバレンシーによるラマヌジャン性判定境界問題についての我々の専攻研究、および有限対称空間上の調和解析の整数論を発展させる目的の達成のためには、実例計算とその詳細な考察が不可欠であろう。今年度は成果をまとめるに至らなかったが、関連する非可換群についての詳細な表現論・組合せ論的知見や有限特殊関数についてのこれまでの研究成果に対する知識を得ることができた。
残念ながら、計算機を用いた計算実験についてはその準備に手間取り、実験を開始することができなかった。より詳細な研究により問題の定式化をはじめとした実験準備を進めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フロベニウス群を対象とした先行研究の類似結果についての論文を公表することができた。しかし、更なる実例計算については研究を進め一定以上の新しい知見を得ることができたものの成果としてまとめるに至らず、また計算機実験を開始することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も代数的に定義された有限正則グラフに対する明示的スペクトル論による整数論の考察について、ラマヌジャン性および有限対称空間上の調和解析の二つの観点から研究を進め、問題の本質を見極めたい。
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Causes of Carryover |
今年度は想定以上に予備的な研究に労力を割き、計算機実験および成果発表に係る活動費用が生じなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は計算機実験を開始することが出来る見通しであり、また研究の進捗に応じて専門家との意見交換および成果発表等を昨年度以上に実施する計画である。
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