2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13764
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長田 博文 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20177207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 無限粒子系 / クーロンポテンシャル / ケプラー問題 / 相転移現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
厳密クーロン系の平衡分布で、今、唯一、構成されているのは、Ginibre点過程である。これは典型的な行列式測度であるが、本年は連続空間において、すべての行列式測度の末尾事象は自明であるということを証明し出版した。これは従来、離散空間にのみ知られていた結果の連続空間への拡張である。 証明は、行列式測度を定める連続な核関数を離散近似する訳だが、問題の難しさは、核関数の持っている「正定値」という行列としての性質を保持しながら近似しないといけない点である。単純に近似するだけでは、この非スカラー的性質は壊れてしまうため、空間を離散近似する際に、スピン、もしくは、fiber束のような構造を導入し、空間をtree表現したというのが鍵になるアイデアである。この拡張した空間の連続行列式点過程の近似は、離散行列式点過程となり、末尾事象の自明性が従う。これと、マルチンゲール収束定理を組み合わせることで、末尾事象の自明性という、空間の位相構造とは相性の悪い構造を、測度論的なマルチンゲール収束定理から引き出す。 点過程を考えるうえで、連続空間への拡張は自然かつ重要な問題である。末尾事象の自明性は、無限粒子系の確率力学的性質を考察するうえでも重要であることが分かっており、それを一般的に証明することは、研究上大きな進展である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ginibre干渉ブラウン運動に関して、無限次元特有のGirsanov公式を発見した。これは、相転移現象を解明する上で、武器になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
厳密クーロン無限粒子系をGinibre以外に構成する。これは、無限粒子系の空間における、ある種の「超関数論」を新たに開発することで実行できる可能性があると思われる。
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Causes of Carryover |
海外共同研究者であるBufetov氏を招聘しようと思ったが、都合が合わなかった。今年度に繰り越し彼を招聘する予定である。
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