2017 Fiscal Year Research-status Report
無限大不変測度を持つエルゴード的変換の多重再帰性とエルデシ予想
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16K13766
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲田 均 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 名誉教授 (40118980)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エルゴード理論 / 多重再帰性 / エルデシ予想 / 不変測度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はergodic Ramesy theory の原点となる Furstenberg の研究を吟味し、再検討した。さらに、characteristic factor と nilsystem に関する研究のアイデアの背景について調査を行った。これを基にして21世紀に入って、Host、Kra、Ziegler達により急速に発展をとげた構造定理の基礎となった nil-sequence におけるGowers norm の役割を深く調べ、∞不変測度を持つエルゴード的変換の構造に対して適用可能であるかどうかを検討した。とりわけこれまでの研究者による成果を吟味しつつ、弱混合的拡大の概念を∞不変測度を持つエルゴード的変換に定式化できるか、その可能性についてさまざまな試みを行った。一方、オランダの研究者との連分数の作る力学系の研究に関する連携も継続して行った。とりわけ、α-N連分数の作る力学系の構造について Cor Kraaikamp 氏と討論を行った。さらに前年度に引き続き数論的側面からのアプローチの一環として複素連分数の作る力学系の研究、幾何学的空間上の力学系の研究も引き続き行った。とりわけ数論的変換の典型となる複素連分数に関してはユークリッド虚二次体上の連分数の作る力学系のエルゴード理論、特に自然拡大の研究に進展をみた。これまでの成果は、2017年5月にウズベキスタンのタシケント、6月にオランダのライデン、12月にフランスのマルセイユ、2018年2月にイスラエルのエルサレム、オーストリーのザルツブルクでそれぞれ行われた研究集会の招待講演で発表した。また、エルサレムの研究集会において、ergodic Ramsey theory 研究の権威の一人であるヘブライ大学 Benjamin Weiss 教授と討論を行いいくつかの有意義な研究情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、現在の ergodic Ramsey theory の研究の全体像を捉えることに重点をおき、∞不変測度を持つエルゴード的変換の弱混合拡大への適用を検討することが出来た。今後∞-エルゴード理論の中で弱混合拡大と多重再帰性の問題を研究するための基礎固めに成功した。また、ヘブライ大学の Benjamin Weiss 氏よりこの分野の最近の進展に関する重要な情報を得ることができた。さらに、イスラエルの他の研究者との今後の連携について打ち合わせを行い、最終年度に向けた研究体制を整えることが出来た。一方、オランダの研究者との継続した研究連携により次年度に向けて研究の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
∞不変測度を持つエルゴード的変換の有限測度拡大の理論と多重再帰性の問題を ergodic Ramsey theory における役割を意識しつつ研究する。特に、無限大測度を持つ空間に対してGowers norm を拡張して定義することが可能であるかについて研究を行う。これにより、等差数列に関するエルデシ予想へのエルゴード理論からのアプローチがどこまで可能であるかをある程度明確にしたい。また、これに付随してディオファンタス近似の理論に関する数論的あるいはエルゴード理論的研究を平行して行う。これらの内容を中心に、オランダ、フランス、イスラエルの研究者と連携しながら研究を進める。
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Causes of Carryover |
2017年10月に本研究課題に関する共同研究(少人数)のため京都大学数理解析研究所共同研究に招聘予定であった中国科学技術大学 Wen Huang 教授が本人の研究費で来日した結果、旅費・滞在費補助が不要となったため、その分の費用が差額として生じた。今年度は研究討論の為の旅費として予算を重点的に使用する。具体的には 1) 5月に共同研究の為に来日するオランダの研究者の滞在費補助、2) 10月に京都大学数理解析研究所において開催されるワークショップに出席するための本研究代表者の旅費およびイスラエルから参加する研究者の滞在費補助、3) 研究代表者のヨーロッパ出張の旅費、以上を中心に使用する。
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Research Products
(8 results)