2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Challenge in Astrobiology by Computational Science
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16K13782
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相川 祐理 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40324909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 光男 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (00593550)
古家 健次 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (80783711)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子化学計算 / アストロケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
星形成領域の観測では現在、原始星周囲でグリコールアルデヒド(単純な糖分子)など多様な有機分子が検出されている。これら有機物の多くは、ダスト表面の氷マントルでのラジカル反応によって生成されると考えられている。今年度は、その素過程に関わる量子化学計算を行うとともに、化学反応ネットワーク計算によって有機物の生成過程やその物理環境への依存性を調べた。 量子化学計算では、メタノールの光解離に注目した。メタノールは6原子以上の分子からなる星間分子で最も存在量が多く、その光解離によって生成されるラジカルは、より大きな有機分子の材料になると考えられている。メタノールの光解離ではCH2OHやCH3Oなど複数の生成物が可能であり、分岐比はその後の有機分子生成に影響を与えるので重要である。そこで時間依存密度汎関数法(TD-DFT)を用いて励起状態ダイナミクスシミュレーションを行い、メタノールの光解離反応機構を調べた。その結果、気相実験で得られている分岐比を説明するには、第一励起状態が重要であることが示された。またこの結果をもとに固相での光解離分岐比についても考察を行った。この結果は論文としてまとめChemical Physics Lettersに掲載された。 反応ネットワーク計算では、星形成前の氷マントルの形成から原始星形成周囲での有機物の昇華まで一貫したモデル計算を行った。その結果、氷マントル内でのラジカルの挙動や有機分子生成過程をモデル化する上で、氷マントルの層構造を考慮することが本質的に重要であることを明らかにした。星形成前の紫外線減光や温度によってその後の有機分子生成経路が変化することも示した。またアウトバースト天体の観測を行い、昇華したばかりの有機分子輝線を多数検出した。結果の一部は国際会議での講演および論文として発表し、現在さらに1編論文を執筆中である。
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Research Products
(26 results)