2017 Fiscal Year Research-status Report
秒角以下で天体サイズを測定する多重像式X線干渉計の発明
Project/Area Number |
16K13787
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林田 清 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (30222227)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | X線干渉計 / タルボ効果 / X線ピクセル検出器 / CMOS検出器 / 多重像X線干渉計 / MIXIM |
Outline of Annual Research Achievements |
1993年打ち上げのあすか衛星以降、X線天文衛星の標準形は斜入射反射望遠鏡と、X線ピクセル検出器(CCD)を組み合わせたものになっている。角度分解能は、望遠鏡側の性能で決まっている。すざく衛星は約2分角、XMM-Newton衛星は15秒角で、サブ秒角あるいはそれ以下が実現されている長波長側の観測結果と比較する際には、不十分であるケースが多い。一方、1999年に打ち上げられたChandra衛星はX線望遠鏡として例学的に高い0.5秒角の角度分解能を実現しているが、これを再製作するのはコスト的、技術的に困難とされている。また、斜入射反射望遠鏡を使用する限り3-12mといった長い焦点距離が必要で、衛星が大型化するという点も問題点である。 本研究は、位相コントラストイメージングの一手法として実用化されているX線タルボ干渉計の構成をベースに多数の像を重ねあわせる、新たな原理の天文用X線干渉計、多重像X線干渉計MIXIMを提案している。回折格子とX線ピクセル検出器だけを組み合わせた単純な構成で、サブ秒角の位置分解能を、超小型衛星におさまる50cmサイズで実現する。昨年度までの実験で、4.8ミクロンピッチの格子とピクセルサイズ30ミクロンのX線ピクセル検出器を用いて、マイクロフォーカスX線源を光源とする拡大撮影で、干渉縞を得ることに成功していた。今年度は、ピクセルサイズ4.25ミクロンの可視光用CMOS検出器を導入、これが室温動作でX線光子検出できることを示した。これを用いて、SPring8の200mビームラインで準平行光を照射、12.4keVのX線に対して46cmの格子-検出器間距離で干渉縞を検出することに成功した。像幅は1秒角に対応する。同時にX線偏光検出にも成功した。近傍活動銀河核のトーラスを偏光情報をまじえて撮像分解し、活動銀河核統一モデルの検証を目ざす。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的な目標である、平行光を用いたX線干渉縞検出に成功した。これを実現するために必要なのがX線光子検出の高い位置分解能である。サブピクセルの位置分解能を得るデータ処理の手法、電荷分割解析を導入したことに加え、可視光用に開発されている微小ピクセル(4.25ミクロン)のCMOS検出器に着目、X線検出できることを実証した点が大きい。より開口率の小さい回折格子の調達のスケジュールが遅れ、期間延長したことを考慮しても、当初の予定より進展したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで多重像X線干渉計に使用してきたピッチ4.8ミクロンの回折格子は、X線タルボ干渉計で用いられるのと同じ開口率0.5のものであった。SPring8実験で像幅1秒角相当の干渉縞を得た際にもこれを用いている。現在納入待ちの状態にあるのが、開口率0.2の回折格子で、これを使用することで、0.4秒角、つまりChandra衛星の分解能を超える解像度を得ることをめざしている。 本研究で提案している多重像X線干渉計は、もともと超小型衛星を念頭においたもので、それが第一目標であることかわりはないが、具体的な観測を検討をしていく過程で、フォーメーションフライトを利用し、例えば100mの距離に格子と検出器を設置するアイデアも発案している。この場合、0.01秒角という角度分解能が期待される。
|
Causes of Carryover |
本研究で使用する回折格子の製作施設で製造装置の故障が起こり、注文していた製品の納入に約3カ月の納入遅延が生じた。実験室での実験、放射光施設での実験などに遅延が生じるが、納入後は当初の計画通りの実験を実施する。
|
Research Products
(33 results)
-
[Journal Article] Soft X-ray Imager aboard Hitomi (ASTRO-H)2018
Author(s)
Tanaka Takaaki、Uchida Hiroyuki、Nakajima Hiroshi、Tsunemi Hiroshi、Hayashida Kiyoshi、Tsuru Takeshi Go, Tadayasu Dotani et al.
-
Journal Title
Journal of Astronomical Telescopes, Instruments, and Systems
Volume: 4
Pages: id. 011211
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Atmospheric gas dynamics in the Perseus cluster observed with Hitomi*2018
Author(s)
Hitomi Collaboration; Yuto Ichinohe, Shutaro Ueda, Ryuichi Fujimoto, Shota Inoue, Caroline A..Kilbourne,Tetsu Kitayama, Maxim Markevitch, BrianR.McNamara, Naomi Ota, FrederickS. Porter, Takayuki Tamura, Keigo Tanaka, Norbert Werner, K. Hayashida et al.
-
Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 70
Pages: id.9
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] X線天文衛星代替機(XARM) 搭載の軟X線撮像装置の検討状況2017
Author(s)
林田清, 冨田洋, 森浩二, 中嶋大, 松本浩典, 常深博, 田中孝明, 内田裕之, 鶴剛, 夏苅権, 山内誠, 廿日出勇, 村上弘志 , 信川正順, 幸村孝由, 萩野浩一, 平賀純子, 信川久美子
Organizer
日本天文学会秋季年会
-
-
-
-