2016 Fiscal Year Research-status Report
短寿命な突発天体の起源解明に向けた相乗り探査体制の構築
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16K13788
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
青木 貴弘 山口大学, 時間学研究所, 学術研究員 (30624845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 友明 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 特任専門員 (70425403)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 突発天体 / fast radio burst |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においてFast Radio Burst (FRB) 探査に必要なパルス探査プログラムを作成し、試験的に観測とデータ解析を行った。FRBやパルサーのパルスのような数ミリ秒以下のタイムスケールで起こる光度変動現象を捉えるには、星間プラズマ雲によって引き起こされる波束の分散効果をコンピュータ上で除去する処理 (デディスパージョン処理) を行わなければならない。その処理にはコヒーレントデディスパージョンとインコヒーレントデディスパージョンという2通りの方法があるが、当該年度においては通常のパルサー観測に有用なコヒーレントデディスパージョンを行うGPUプログラムを作成し試験した。 その結果、NICT鹿島アンテナを用いたCrabパルサー観測データから適正にパルスを検出することに成功し、また茨城大学高萩アンテナを用いた観測データを現在解析しているところである。実施者の所属する山口大学山口アンテナでも観測を行ったものの、記録系の不具合によって観測は失敗した。本課題では最終的に国立天文台VERAアンテナに対してパルス探査器を設置するが、その観測システムはおおよそ山口局、高萩局と同様であり、上記の試験はそれを踏まえて行ったものである。その結果から、コヒーレントデディスパージョンによるパルス探査は処理時間の点で効率的でなく、プログラムの最適化は万全ではないものの、レート2 Gbpsによる観測データを解析するのに観測時間の5倍以上かかってしまうことが明らかとなった。また山口、高萩を含む国内のアンテナにおいても相乗り探査を効率的に行うためには、記録系の刷新が必要であることが判明し、新たな検討課題が得られた。このような試験結果により、国内アンテナシステムを用いたFRB観測の課題が明らかとなり、それらを次年度において検討、解決し、実観測体制を構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、当該年度内にVERAアンテナのVLBI観測に相乗りする形で、FRB探査器を設置する予定であった。しかし異動に伴い当初考えていたエフォートを実現することが困難となり、また前述の通り試験観測の結果いくつかの課題が明らかとなったため、計画は遅れてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述した処理速度の課題に対処するため、まずインコヒーレントデディスパージョンを行うプログラムを作成し再度試験を行う。それによって処理速度の向上を図ることができ、効率的なFRB探査が期待できる。その結果をもとに、VERAアンテナに対してFRB探査器を設置することを目標とする。当初の計画であったFRBのイベントレートについて計画通りの有意な成果を得ることは難しくなるだろうが、この設置によって、国内FRB探査体制の基礎を築くことになる。その体制を今後発展させるため、GPUでなくFPGAを用いた探査器の検討、またVERAアンテナのみならず国内の他のアンテナによるFRB探査を実現するため、記録系の刷新についての検討を行う。後者の記録系検討は既に行っており、国立天文台で作成されたVSRECというソフトウェア記録系を試験的に導入したが、不具合のため失敗している。この問題への対応は将来的なFRB探査にとって極めて重要だが、本研究課題においては中断し、別の課題とする。
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Causes of Carryover |
これまでの試験結果から、より高性能なコンピュータとRAID記録系またはFPGAが必要と判断し、当初の予算計画ではそれらの購入が困難だったため、予算の一部を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
GPUコンピュータとFPGAのどちらを購入するか6月をめどに判断し購入する。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 山口干渉計の構築状況2017
Author(s)
青木貴弘, 藤澤健太, 新沼浩太郎, 金澤翔
Organizer
日本天文学会2017年春季年会
Place of Presentation
九州大学(福岡県福岡市)
Year and Date
2017-03-15 – 2017-03-18
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[Presentation] 山口干渉計の構築2016
Author(s)
青木貴弘, 藤沢健太, 新沼浩太郎
Organizer
第14回水沢VLBI観測所ユーザーズミーティング
Place of Presentation
国立天文台三鷹キャンパス(東京都三鷹市)
Year and Date
2016-10-03 – 2016-10-04
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