2016 Fiscal Year Research-status Report
超高線量場用の低コストな方向弁別型放射線検出器の開発
Project/Area Number |
16K13796
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中森 健之 山形大学, 理学部, 准教授 (30531876)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ガンマ線検出器 / 方向有感型 / MPPC / シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
立方体鉛ブロック(3 cm角)の6面にGAGG:CeシンチレータとMPPCセンサを取り付け、各面のセンサが検出する137Cs由来の662 keV光電吸収に対応する計数率パターンから、線源の方向を推定する検出器を構成した。小型コンピュータであるRaspberry Piによる検出器のコントロールとデータ収集システムを開発した。高圧電源装置の制御、係数データの収集、及び方向算出のデータ解析をスタンドアローンで行えることを実験室で実証した。その後、冬の屋外に装置を持ち出し、線源方向の同定ができることを確認した。実験を多数回反復し、算出された方向の分布から角度決定精度を評価し、シミュレーションによる予想と一致することを確認した。線源の強度が強いほど、あるいは測定時間が長いほど精度はよくなるが、0.3マイクロシーベルト毎時の線量を与える137セシウム線源を1分間計測すると、20度以下の精度で決めることができた。
線源が2つ存在するときに方向決定計算を行うと、強い方の線源がある方向を示すことができる。方向決定法はカイ二乗検定によって最適解を求めており、2つの線源が存在する場合には明らかに大きなカイ二乗値が最適解となるため、線源が1つである仮定が間違っていることを検知できる。続いて2つの線源があるというモデルで同様にカイ二乗検定を行い、それぞれの方向と強度を算出することも可能であることを示した。その一方で、強度や方向の組み合わせは多数の可能性があり、同定が苦手な組み合わせがあるなど、限界があることも明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つの線源が存在するときに、それぞれの方向と強度を求めることができる場合とできない場合があることが明らかとなり、検出器構成の修正を検討することになった。その影響もあり、計画したプラスチックシンチレータによる構成での実験がまだできていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
複数線源の方向検知精度を上げるための構成を、シミュレーションを元に最適化し、実験で確認する。また超高線量場におけるRaspberry Piの動作実証およびガンマ線耐性を調べる。そのためにコバルト60施施設においてガンマ線照射試験を実施する。
|
Research Products
(1 results)