2016 Fiscal Year Research-status Report
ジョセフソン接合素子における量子干渉効果を用いた暗黒物質アクシオン検出の基礎研究
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16K13803
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中 竜大 名古屋大学, 現象解析研究センター, 特任助教 (00608888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 宏之 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20273287)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アクシオン / ジョセフソン接合 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超電導Josephson接合素子におけるクーパー対とボーズアインシュタイン凝縮しているダークマターアクシオンとの位相干渉効果によるアクシオン検出検討を進めるものであり、新たなアクシオン検出法の提案と実証を目指すものである。 まず、デバイス開発として、研究分担者の赤池によるNb-Al-Nbによるジョセフソン接合素子の作成を行い、筑波大学の測定系により電流-電圧特性の最初の測定を行うことができた。ここでは、既存の測定系による実証とデバイス測定のトレーニングを兼ねたものであったが、既存の測定系においてノイズレベルが(当然ながら)高く、nAレベルまで改善するためにはSQUID等を用いた測定系の開発が必要である。また、電圧の測定分解能も悪いため、100マイクロeV程度の質量領域の探索において、測定系の改善が不可欠であることがわかった。これについては、共同研究のネットワークが広がり、理化学研究所や東北大の研究者との議論が進み、より最新の測定系構築にむけた共同研究が進みつつある。 並行して、本研究における現象論の研究を協力研究者である北嶋と進めてきており、位相干渉における相互作用モデル計算を詳細に行うことを進めている。また、別の相互作用としてアクシオンのコヒーレント性と交流電流との共鳴効果も原理的には可能であり、この場合、アクシオンによる磁場誘起が起こることを理論的に提示することができた。また、さらには、この原理を物質科学に応用した電磁気学的アクシオンのダイナミカルな効果の初検証の提案を物質科学研究者と提案することができ、これについては論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスの作成や測定系、さらにその高度化においてより高度な技術を持つ研究者との連携が進み、今後の発展が期待できる状況をつくることができた。また、理論的な理解やさらなる分野を超えた研究発展を行うことができ、新たな分野創出の種を作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本研究の大元の提案方針で言えば、東北大、理研と協力し、より微細な信号を取り出すための測定系の構築研究を進める。具体的にはSQUIDを用いた測定系の構築を進めていく。一方で、現象論をより詳細に詰めることで、数値シミュレーションを可能にし、本研究の可能性についてのより詳細な理解を行っていく。また、そこから新たな方法論の議論を進めることで、ダークマターアクシオン検出に向けた手法開発も並行して研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
デバイス開発に関して、測定系の要求性能とデザイン検討を進めるため、購入を保留したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より詳細なデザインを議論し、方針が固まり次第経費の使用を進めていく。
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