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2016 Fiscal Year Research-status Report

ミュオニウム―反ミュオニウム変換探索実験の原理実証

Research Project

Project/Area Number 16K13810
Research InstitutionHigh Energy Accelerator Research Organization

Principal Investigator

河村 成肇  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (60311338)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords標準理論を超えた物理 / ミュオン / レプトン数非保存 / 超低速ミュオンビームライン
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、J-PARCミュオン実験施設で得られる大強度ミュオンビームを生かして、ミュオニウム(正ミュオンと電子の2体系)-反ミュオニウム(負ミュオンと陽電子の2体系)振動の観測を目指す実験手法の原理実証を目的とする。素粒子標準理論では禁止されるこのレプトン数非保存の事象が発見された場合、標準理論を超えた新しい物理事象の直接的な証拠となる。
平成28年度はミュオンを輸送するための超低速ビームラインと、ミュオンを観測するための検出器(Multi Channel Plate)の整備を行うとともに、ミュオニウム-反ミュオニウム振動の観測を行う際の背景事象(バックグラウンド)の実測をミュオンビームを用いて行った。ミュオンビームはシリカエアロゲル標的に入射後、ミュオニウムを生成、それが真空中に拡散する。将来的にはレーザー光によりミュオニウムを正ミュオンと電子に分離する。反ミュオニウムが存在し、それが分離すると、その中の負ミュオンが超低速ビームラインで輸送、検出される。既存の実験の精度を超えることが可能かどうかは背景事象に依存し、それを測ることで実験の実現可能性が確認される。背景事象をいかに抑えることができるかが重要である。
本研究ではレーザーを導入せず、負ミュオンと陽電子が分離しない状態をあえて作り、原理的に負ミュオンが出ない状態にして、ビームラインは負ミュオンを輸送可能な状態とすることで、散乱などに由来する背景事象の量を確認する。
超低速ビームラインでは磁場偏向電磁石と静電偏向電磁石を組み合わせることで、ミュオンだけを検出器まで輸送し、背景事象の抑制を図っているいる。
本研究はJ-PARCミュオン実験施設の課題として採択され、予備的な実験を行った。それにより、ビームラインや検出器の改良は必要だが、背景事象を抑えることが十分に可能であることが実証された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

シリカエアロゲル標的、真空容器など既存の装置を流用可能な部分に関しては、それらを用い、新たに製造・開発が必要なものに対して集中した開発・調整行うことで、実験装置の開発期間を当初の想定より短縮することができた。
また、J-PARCミュオン実験施設の課題としても採択されたため、当初の予定では平成28年度はミュオンビームを使わない調整を行う予定であったが、先行してミュオンを用いた測定を行うことができた。ただし、装置開発が間に合わない箇所もあり、超低速ミュオンビームラインや検出器の調整が不完全な箇所もあり、ミュオンビームを用いたデータをさらに取得する必要がある。
本研究が目的とするミュオニウム-反ミュオニウム振動の観測手法の原理を実証するためには、背景事象を極限まで抑制する必要がある。平成29年度も装置開発・改良を継続し、追加の実験を実施し、必要なデータの取得に努める。

Strategy for Future Research Activity

負ミュオンを輸送する超低速ビームラインには、現在、静電偏向電磁石と磁場偏向電磁石が各1台づつ導入されている。これらにより輸送する粒子の電荷、エネルギー、運動量を決め、特定の粒子のみを輸送する。即ち、負ミュオンだけを輸送し、背景事象となる電子や水素イオン(H-)は輸送しないことが可能である。しかし、散乱などの寄与により偶然、検出器に入ってしまう負ミュオン以外の粒子が存在する。それらは大きく分けて、ビームライン中で散乱したものと、ミュオニウム生成標的近傍に止まった正ミュオンの崩壊により生じた高エネルギーの陽電子の寄与の二つが考えられる。後者に関しては遮蔽強化が有効である。また、前者は解析方法の工夫でそれらの大部分は抑えることが可能であるが、検出器の改良(遮蔽の追加、Multi Channel Plateを囲う電子検出器の改良)などを行うことで、残りの背景事象も確実に抑制が可能と考えられる。
最前の改良方法を検討・選択したのち、ミュオンビームを用いた実験を再度、実施することを検討している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 新しいMu-antiMu変換実験の可能性2017

    • Author(s)
      河村成肇
    • Organizer
      日本物理学会

URL: 

Published: 2018-01-16  

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