2017 Fiscal Year Research-status Report
ガンマ線天体を用いた宇宙近赤外線背景放射の起源の探査
Project/Area Number |
16K13813
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 芳幸 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 上級研究員 (70733989)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高エネルギー天文学 / 活動銀河核 / 宇宙背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はブレーザー天体のガンマ線スペクトルを用いて、宇宙近赤外背景放射の超過成分の起源を探ることにある。そのため に、以下の三段階に分けて研究を遂行する予定である。1) ブレーザーの放射スペクトルのモデル化、2) 超過成分も含めたガンマ線吸収量の見積もり、3) ガンマ線データを用いた超過成分の探査である。 当該年度においては、我々は「2) 超過成分も含めたガンマ線吸収量の見積もり」に取り組んだ。CIBER 衛星による最新の近赤外線線背景放射強度が2017年度に報告され、この最新データをもとに、様々な赤方偏移進化を仮定した場合のガンマ線吸収量を見積もった。今後のスペクトルフィットを見据えて、この結果はテーブルデータとして使用できる形にしてある。また、共同研究者らとともに Axion-like Particle を考慮にいれた場合、将来のガンマ線望遠鏡でのブレーザー観測、特にガンマ線吸収にどのような影響があるかも調べ、次世代ガンマ線望遠鏡 CTA で期待されるガンマ線ブレーザーの検出数予測とともにおこなった。これらの結果は、"Cherenkov telescope array extragalactic survey discovery potential and the impact of axion-like particles and secondary gamma rays", Andrea De Franco, Yoshiyuki Inoue, Miguel A. Sanchez-Conde, Garret Cotter2017 Astroparticle Physics, 93, 8 として、すでに Astroparticle Physics 誌より出版されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CIBERロケット実験による最新の近赤外線背景放射のスペクトルデータが2017年4月に公開された。CIBER による結果は、これまでの観測よりも精度がよい一方で、スペクトル形状に違いがみられた。そこで、より確度の高いガンマ線データ解析を行うためには、最新のデータを含めた背景放射超過成分モデルの再構築が必要となり、当初予定していた H29年度中に研究計画を終えることが出来ない見通しとなり、H30年度まで延長することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、構築したガンマ線吸収量モデルとガンマ線ブレーザー天体をもとに近赤外線背景放射の起源の距離決定を目指す。また、統計的な取扱をするために、ブレーザーのスペクトルフィットにまマルコフ連鎖モンテカルロ法を組み込む予定である。
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Causes of Carryover |
出張旅費や論文出版費において、他の財源を充当したため次年度使用額が生じた。今年度はこれまでの成果報告のために、すでに招待されている国際会議二件(イタリア・ロシア)に出張予定であり、本科研費をこの旅費に使用する(国際会議参加:40万円x2=80万円)。また、ブレーザーのスペクトルフィットに関する議論および将来のブレーザー観測に向けた技術開発に関する議論のため共同研究者二名をアメリカより招聘する予定であり、この招聘費用としても充当する予定である(国際招聘費:40万円x2=80万円)。また論文出版費として、本科研費20万円を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)