2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノ材料の4次元構造解析を目指した高速X線逆空間マッピング法の開発
Project/Area Number |
16K13816
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
白澤 徹郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物質計測標準研究部門, 主任研究員 (80451889)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線散乱 / 逆空間マッピング / 薄膜 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
波長分散集束X線ビームを2次元集光する光学系の設計と製作を行った。水平面内の集光に関しては、ポリクロメーター結晶の彎曲形状を数値計算して収差の出ない形状に設計し、その製作を終えた。鉛直方向の集光に用いるX線集光ミラーの設計については、使用する放射光ビームラインの延長工事に伴い、予定していたよりも大きなミラーが必要になることが設計段階で明らかになった。製作費を計上した結果、当初予算を大きく上回ることが判明したため、鉛直方向の集光は行わずスリットで切り出す方針に変更した。 また、数枚の画像データから3次元逆格子マップを構築する解析法の開発を進めた。従来の方法で3次元逆空間マップを得るためには、最新の2次元検出器を用いた方法でも数100枚の実験配置で測定したX線散乱パターンを逆空間でのX線散乱分布に変換する必要がある。一方、本研究で提案する方法では、数回の実験配置で測定した一連のX線散乱データを変換すれば良いが、検出器上で情報の重ね焼が生じ、実験データを直ちに逆空間マップに変換できない問題があった。この問題を解決するために、逐次近似法を用いた解析法の開発を進めた。X線散乱分布が見込めない逆空間ボクセルの値を0に拘束することでスパース性を利用する試みや、逐次近似の際にX線散乱分布を更新する方法を様々に試した結果、数枚の画像データから数10回の繰り返し計算で3次元逆空間マップを再構築できることをシミュレーションで確認した。他方、実験におけるX線ビームサイズをシミュレーションに取り入れる必要性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波長分散集束X線ビームの集光光学系の設計と開発については、水平面内の集光に関しては予定通り製作を終えることができた。鉛直方向の集光ミラーについては、設計を進めていたものの、共同利用施設側の工事に係るX線ビーム性能の変更に伴い当初予定していた予算を超える製作費が必要になることが判明したため、その製作を断念した。代替案としてスリットの導入を検討し、方法論の開発に必要な性能は確保できることを確認できている。また、解析法の開発についても期待どおりの進展があり、さらなる改良のための問題点の抽出も行うことができた。以上のように、想定していなかった事情があったものの、全体的にはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは平成28年度に製作した集光素子とスリットによって作り出した微小ビームの形状評価を行い、十分な性能を確認できた後に、超格子薄膜試料を用いた逆空間マッピング測定を行う。 これと並行して解析法の改良とソフト化を進め、上記実験データをもとに3次元逆空間マップを作製する。この結果をもとに、さらなる高速化の検証を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度の検討により、次年度に新たに導入することを決定したスリットの設置に係る経費が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
スリットの設置に係る消耗品の購入に使用する。
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