2017 Fiscal Year Research-status Report
周期構造を有する有機材料における新規テラヘルツ光学応答の探索
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16K13819
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 英夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40311633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共役系高分子 / 周期構造 / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
共役系高分子は基本ユニットの繰り返し構造によって形成されている。複数種類の基本ユニットから構成される共役系高分子は、長い周期の繰り返し構造を有することになる。このような周期構造を有する共役系高分子のテラヘルツ光学応答特性の解明を目指して研究を行った。この研究においては、周期構造がキャリアの運動に与える影響の解明が重要になる。そこで、単一の基本ユニットからなり長周期構造を有しない共役系高分子(ホモポリマー)と比較する方針をとり、研究を進めた。前年度に引き続き精度の良い測定を目指して測定系の改良を行った。測定精度を向上させるのに時間を要したが、年度末には測定精度の向上が実現した。今後は周期構造を有する共役系高分子についてホモポリマーと比較を行いつつ測定を進める。 またテラヘルツ波発生特性の解明のためには高分子主鎖上のキャリアの運動を理解することが極めて重要である。測定対象とした周期構造を有するポリマーは、周期構造を有さないポリマーと比較し主鎖構造以外にも構造上の違いがあり、また、結晶性の違いなどがあるため直接の比較が難しい。そこで、上述のテラヘルツ光学応答の研究と並行して、当該ポリマーにおけるキャリアの性質の理解を目的としてドーピング状態について分光測定を行った。電気化学的にキャリアを導入し、その光学応答からキャリアの性質について検討を進めた。その結果、従来の周期構造を有しない系とは定性的な違いがあった。側鎖構造の影響を考慮しつつ、主鎖構造の電子状態の違いとキャリアの運動について明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー装置の故障があり、実験が順調に進まない期間があったためテラヘルツ分光測定に関してはやや遅れている。一方で、対象物質の電子状態の理解については、予定以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
ホモポリマーとの比較を行うが、その際に結晶性、側鎖構造の違いの影響を考慮しつつ、計画に基づき研究を進める。必要に応じテラヘルツ分光測定以外の種々の分光測定(電荷変調分光、超高速分光など)から得られる結果との関係、整合性に注意を払い研究を行う。
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Causes of Carryover |
測定の対象とする物質の種類を増やすことを検討しているが、今年度は測定系の改良などに時間を費やし、試料準備のための費用が抑えられた。次年度は、レーザー装置に関わる費用、試料に関わる費用などに助成金を使用する予定である。
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