2016 Fiscal Year Research-status Report
軌道角運動量を持つ光とスピン分解光電子分光法を用いた新測定手法の模索・開発
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16K13823
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 幸治 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教 (50508067)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多極子遷移 / スピン / OAM光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たな光源として注目されている軌道角運動量をもつ光(0AM光)を光電子分光の分野に取り入れ、その励起過程等が理論上示唆されている多重極子遷移が関与しているのかを実験的に明らかにすることを目的としている。当初、初年度ではOAM光を作成する最適な方法を検討し、それらを考慮した位相子を導入、さらに、その位相子で作成したOAM光の評価であった。しかしながら、当初の予定では想定していなかった長期ドイツ渡航などのため、作業開始が遅延した。また、軌道角運動量の最適な方法を調査するため、北海道大学にてOAM光を6eVでどのように発生するのが最適かを専門家を交えて議論した。その結果を踏まえOAM光を発生させる位相子を選定・購入し、我々の装置に導入した。さらに、OAM光で多重極子遷移を生じさせるためには、回折限界程度まで光を集光させる必要があることが新たに分かったため、6eVの光を数μmサイズに集光できる集光レンズの設計及びその導入を行った。その結果、10μm以下の集光された光を作成する事に成功した。一方で、光のμサイズ化に伴い、光電子分光用の電子分析器のレンズ調整が必要となったため、現在、研究協力者の学生とともにその調整を行っている最中である。今後の予定として、次年度の夏までに電子分析器のレンズ調整を終了し、OAM光の作成を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度ではOAM光を作成する最適な方法および導入までを行う予定であったが、軌道角運動量の最適な方法を、専門家と討論した。その結果を踏まえ、現在、OAM光を発生させる位相子を購入した。しかし、OAM光の光の研究を進めてく上で、当初予定していなかった研究ステップが予想以上に生じたため、当初の予定よりも遅れている。例えば、OAM光で多重極子遷移を生じさせるためには、回折限界程度まで光を集光させる必要があることが新たに分かり、6eVの光を数μmサイズに集光できる集光レンズを導入した。その結果、光電子分光用の電子分析器のレンズ調整が新たに必要となった。現在、その調整を行っている。 また、科研費申請後にフンボルト助成金を獲得したため、日本に滞在する期間が予定よりも短く研究に費やせる時間が短くなったのも研究に遅れが生じた理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
OAM光を導入する前に電子分析器のレンズ調整を早い段階で終了し、OAM光の導入を急ぐとともに、その間に測定手法の異なる別の装置でOAM光を導入した実験も行い、そのOAM光を発生させる位相子が適切に動作している事を確認する。 さらに、レンズ調整の合間にOAM光による多重極子遷移を観測する為の実験準備を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初購入予定したものとことなる製品で対応した為、使用額が多少余った。また、当初の予定よりも進捗状況が遅れているためでもある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、調査研究費に加え、研究協力者の学生の作業をすこし当初の予定より増やす予定であり、昨年の余剰分を費やす予定である。
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[Journal Article] Direct observation of spin-layer locking by local Rashba effect in monolayer semiconducting PtSe2 film2017
Author(s)
Wei Yao, Eryin Wang, Huaqing Huang, Ke Deng, Mingzhe Yan, Kenan Zhang, Koji Miyamoto, Taichi Okuda, Linfei Li, Yeliang Wang, Hongjun Gao, Chaoxing Liu, Wenhui Duan, Shuyun Zhou
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 14216
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Nonvortical Rashba spin structure on a surface with C 1 h symmetry2016
Author(s)
E. Annese, T.Kuzumaki, B. Mueller, Y. Yamamoto, H. Nakano, H. Kato, A. Araki, M. Ohtaka, T. Aoki, H. Ishikawa, T. Hayashida, J. R Osiecki, K. Miyamoto, Y. Takeichi, A. Harasawa, K. Yaji, T. Shirasawa, K. Nittoh, W. Yang, K. Miki, T. Oda, H. W. Yeom, K. Sakamoto
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Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 117
Pages: 016803
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] 3. Observation of the spin-polarized surface state in a noncentrosymmetric superconductor BiPd2016
Author(s)
Madhab Neupane, Nasser Alidoust, M. Mofazzel Hosen, Jian-Xin Zhu, Klauss Dimitri, Su-Yang Xu, Nagendra Dhakal, Raman Sankar, Ilya Belopolski, Daniel S. Sanchez, Tay-Rong Chang, Horng-Tay Jeng, Koji Miyamoto, Taichi Okuda, Hsin Lin, Arun Bansil, Dariusz Kaczorowski, Fangcheng Chou, M. Zahid Hasan & Tomasz Durakiewicz
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 7
Pages: 13315
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] トポロジカル絶縁体/磁性絶縁体超薄膜ヘテロ接合 I:結晶構造と電子状態2017
Author(s)
奥山裕磨, S. V. Eremeev, 白澤徹郎, 杉山裕弥, 角田一樹, 宮本幸治, 奥田太一, 出田真一郎, 田中清尚, E. V. Chulkov, 平原徹
Organizer
日本物理学会第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学 豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20