2017 Fiscal Year Research-status Report
非エルミート系の超光速問題-光ディラックコーンから最終的な解決へ-
Project/Area Number |
16K13825
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
迫田 和彰 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (90250513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光ディラックコーン / 非エルミート系 / 超光速問題 / 群速度 / エネルギー伝搬速度 / 励起子ポラリトン |
Outline of Annual Research Achievements |
ごく最近,申請者は,回折損のあるスラブ型フォトニック結晶の光ディラックコーンについて,超光速伝搬を与える分散関係とエネルギー伝搬速度の解析解の導出に成功し,群速度が発散する場合においてもエネルギー伝搬速度は常に光速以下に留まることを証明した。本研究はこれを発展させて,フォトニック結晶のディラックコーン全般について超光速問題の解決を第1の目的とする。また,長年の懸案であった励起子ポラリトンの超光速問題の解決を第2の目的とする。さらに理論の一般化を試みて,非エルミート系全般について超光速問題を解決することを第3の目的とする。 これまでの検討により,申請者自身が開発した,モードの空間対称性を厳密に取り入れた有効ハミルトニアンの方法を用いて,非エルミートなディラックコーンの超光速伝搬を解析し,すべてのモード対称性と光の伝搬方向の組み合わせについて,エネルギー伝搬速度が光速以下にとどまることを証明できた。また,回折損のあるスラブ型フォトニック結晶の分散関係について数値解析を行い,解析計算と整合する計算結果が得られた。さらに,励起子ポラリトンの分散関係と固有関数を用いて,エネルギー伝搬速度の解析表現が導出できた。また,SOI(silicon on insulator)基板の電子線リソグラフィ加工を想定して,有限要素法を用いてフォトニック結晶スラブの設計を行い,赤外領域のディラックコーンを実証するための試料構造を考案した。さらに,第10回ナノフォトニクス国際会議(2017年7月,ブラジル・レシフェ)で“Photonic Dirac Cones and Relevant Physics”と題してプレナリー講演を行うなど,研究成果の普及に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で,①エネルギー散逸の有る光ディラックコーンについて,分散関係とエネルギー伝搬速度の解析解の導出に成功し,②励起子ポラリトンについてもエネルギー伝搬速度の解析解の導出に成功したことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の論文発表と口頭発表を行う。
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Causes of Carryover |
本研究は,代表者が単独で実施する平成28年度からの2年計画の課題であったが,平成28年度は筑波大学連係大学院物質・材料工学専攻の専攻長に任命され,この職務のために多忙を極めた。その一方で,研究は遅れ気味ながらも当初計画に沿って進展し,新しい発展の可能性も見出した。そこで,研究期間を延長して,研究成果の論文発表と口頭発表を実施する予定である。
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