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2016 Fiscal Year Research-status Report

応力を基軸とした新しい交差相関物性機能の開拓

Research Project

Project/Area Number 16K13828
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

徳永 祐介  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (50613387)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords交差相関物性 / 強相関電子系 / 物性実験
Outline of Annual Research Achievements

すでに一軸応力によるキラリティの応力反転を予備的に確認していた強弾性CoTeMoO6について、ほぼ双晶フリーな良質単結晶の合成することで、この物質の磁化の異方性の詳細を明らかにすることに成功した。 具体的には、この物質がc軸を磁化困難軸とする反強磁性体であることを確認した。さらに、粉末中性子回折実験からはa軸にジャロシンスキー守谷相互作用由来の弱強磁性磁化をもつことが報告されているにもかかわらず、昇磁・降磁過程共に400~500 Oe以下(@4.2 K)ではa軸方向磁化はきわめて小さく、それ以上で急激に一定値まで立ち上がることが分かった。これは、この物質の弱強磁性磁壁に対して比較的強いピン止めが働いている可能性、あるいは他の点群-42mの磁性体でしばしばみられるように、実際の基底状態はらせん磁性、または弱強磁性磁化成分がc軸方向へ反強磁性的にスタックした状態にある可能性などを示唆する。加えて、b軸に磁場を印加すると12 kOe付近(@4.2 K)でメタ磁性転移転移的な振る舞いを示すことが明らかになった。これは転移磁場より高磁場での磁化のゼロ磁場外挿値が有限であることから、もともとb軸方向を向いていた反強磁性副格子磁化がa軸方向へ向くことで、弱強磁性磁化の方向がa軸方向からb軸方向へと回転する、ある種のスピンフロップ現象によるものであると考えられる。さらに、磁場中での電気分極測定から、この物質が[110]方向の磁場印加に伴って磁場に対して偶なc軸方向分極を発現する電気磁気効果を示す物質であることも確認できた。これらの結果は、強弾性体であるこの物質においてはキラリティだけではなく、磁化や電気分極に対する応力応答も期待できることを示唆している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

応力で結晶キラリティを制御可能なCoTeMoO6について、磁化の異方性や電気磁気効果といった応力と結合する可能性のある単結晶物性を明らかにするなどの成果を得たのに加えて、透過偏光顕微鏡によって電場印加下でドメイン観察を行うための観察系の構築などを進めることはできたもの、当初予定していたいくつかの候補物質については良質単結晶の合成が思うように進まず、物性測定・ドメイン観察に適した良質・大型のものがなかなか得られていないため。

Strategy for Future Research Activity

引き続き応力や複合外場によるキラリティ制御が可能と目される様々な物質の合成を進めるほか、これらの物質において実際に外場によるキラリティ反転が可能かどうかについての実験的検証を旋光性、円二色性、円偏光発光、磁気カイラル効果等の光学的な測定と、電子線・x線回折実験等を組み合わせて進めてゆく。また、強弾性弱強磁性体として報告されているLaFeO3の良質単結晶を合成し、強弾性分域壁と強磁性磁壁の結合した複合ドメイン壁が形成可能であるか、またこの分域壁が応力や電場勾配でも駆動可能であるかどうかの検証を、複屈折やファラデー効果を用いた偏光顕微鏡ドメイン観察実験を通して行う。

Causes of Carryover

当初は最高温度1400℃タイプの電気炉の購入を予定していたが、フラックス合成時のフラックス剤の蒸発による発熱体の損傷を押さえるために、発熱体が露出しておらず安価な1000℃タイプの電気炉を購入することになったためその差額が生じた。また、本研究の遂行に必要な(既存の)パルス電源の故障が生じ、その修理費用が必要となったため、当初新規に購入予定だった偏光顕微鏡の購入を中止し既存の顕微鏡によるドメイン観察系の構築を行うことになるなど、計画に変更が生じたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

結晶合成を加速するために最高温度1000℃の電気炉を1台追加購入するほか、現行では印加応力の定量に至っていないので、これを顕微鏡観察下で定量する測定系の構築するための部材(応力印加治具、歪荷重計、荷重計読み取りのためのデジタルボルトメータ、長作動距離対物レンズなど)を購入する。加えて、研究遂行に必要な試薬や消耗品の購入、また国内および海外の学会に参加し、成果を公表するのに必要な旅費などに充てる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 極性キラル磁性体Ni2InSbO6における磁気相図2017

    • Author(s)
      荒木勇介, 阿部伸行, 佐藤樹, 木村尚次郎, 徳永将史, 徳永祐介, 有馬孝尚
    • Organizer
      日本物理学会 第72回年次大会
    • Place of Presentation
      大阪大学 豊中キャンパス
    • Year and Date
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [Presentation] 極性磁性体GaV4Se8における電気磁気効果2016

    • Author(s)
      藤間友理, 阿部伸行, 徳永祐介, 有馬孝尚
    • Organizer
      日本物理学会 2016年秋季大会
    • Place of Presentation
      宮崎大学 木花キャンパス
    • Year and Date
      2016-09-21 – 2016-09-24
  • [Presentation] 極性磁性体Ni2-xMnxInSbO6における磁性特性及び電気磁気効果2016

    • Author(s)
      荒木勇介, 阿部伸行, 佐賀山基, 徳永祐介, 有馬孝尚
    • Organizer
      日本物理学会 2016年秋季大会
    • Place of Presentation
      宮崎大学 木花キャンパス
    • Year and Date
      2016-09-21 – 2016-09-24
  • [Presentation] 斜方晶ペロブスカイト型Tb1-xCaxFeO3の電気磁気特性2016

    • Author(s)
      徳村謙祐, 阿部伸行, 徳永祐介, 有馬孝尚
    • Organizer
      日本物理学会 2016年秋季大会
    • Place of Presentation
      宮崎大学 木花キャンパス
    • Year and Date
      2016-09-21 – 2016-09-24

URL: 

Published: 2018-01-16  

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